Sulphur (ソーファー/硫黄) ①

Sulphurは、どこから手をつけていいかわからないほど、充実したレメディーだ。

人のあらゆる病気の類似点が含まれているようで、初心者がSulphurのプルービングを読むと、すべての病気のイメージが含まれているようなので、他のレメディは必要ないと、自然に思うかもしれない。

しかし、それが人のすべての病気を、治すわけではないことがわかっており、他のレメディーと同じように、無差別に使用するのはよくない。マテリア・メディカについてあまり知らない医師ほど、Sulphurを頻繁に処方するようだが、優れた処方者でも、そうである;そのため、医師がSulphurを処方する頻度から、医師の無知と知識の境界線を引くことができない。

Sulphurの患者は、やせているか、太っていて、飢えており、肩がこっている、消化不良の人だが、多くの場合は、太って丸々としていて、栄養状態の良い人に与えることになる。

しかし、典型的なのは、角ばった、痩せ型の猫背の患者であり、特に、長い間の消化不良、悪い同化作用、貧弱な栄養状態から、このような状態になった場合である。Sulphurの状態は、長い間家に閉じこもっていて、食事を胃に合わせることによって起きる事もある。

部屋に閉じこもって、勉強したり、瞑想したり、哲学的な探求をしたり、運動をしないで、座りっぱなしの生活をしている人は、しばらくすると、簡素な食べ物しか食べられないことに気付き、体を養うのに十分でない食べ物だけとり、最終的には哲学マニアになってしまう。

また、顔にSulphurの症状が見られる患者もいる;汚れ、しなびて、赤い顔の人だ。皮膚は大気の影響を受けやすいようである。寒い日も湿った日も、外気に触れると顔が赤くなる。

繊細で薄い皮膚で、ちょっとしたことで顔を赤らめ、どんなに洗っても、いつも赤くて汚い顔をしている。子供の場合、母親が頻繁に顔を洗っても、いつもその場しのぎで洗ったかのような顔をしている。

ヘリングはSulphurの患者を「ぼろを着た哲学者」と呼んだ。

Sulphurの学者は、発明家であり、古ぼけた服とボロボロの帽子で、昼夜を問わず働き、長髪で汚い顔をしている。硫黄は、このような無秩序な状態、整頓されていない状態、不潔な状態、「どうなってもいい」という状態、自分勝手な状態を生み出すようだ。

彼は偽哲学者となり、この状態が続けば続くほど、世界が彼を、地球上で最も偉大な人物と考えていないことを知って、がっかりする。老齢の発明家は、いくらやっても失敗する。

このような症例で起こる病訴は、たとえ急性の病訴であっても、Sulphurになる。このような患者を受け持つと、何週間も同じシャツを着ていることに気づくだろう。もし彼に付き添う妻がいなければ、彼はシャツが落ちるまで着続けるだろう。

Sulphurの患者は、清潔にすることにあまり関心がない。彼は汚れているが、きれいな襟や袖口、きれいなシャツを着る必要性を感じていないのである。Sulphurは清潔な人にはほとんど適応しないが、不潔さを気にしない人にはよく適応する。

町の診療所に勤めている時、Sulphur投与後、自分のことを気にし始め、清潔なシャツを着ていることに気づくことが何度もあり、この人は以前、同じ古いシャツを着ていた。また、Sulphurの患者で、特に小さな子供たちは、あっという間に服を汚してしまうことには驚かされる。

子供は、非常に驚くほど不潔な傾向がある。その小さい子がSulphurの患者だと、不潔なことについての話を母親はする。子供は鼻や目などからカタル状の分泌物を出し、鼻から出た分泌物を口に入れることがよくある。さて、それは、Sulphurの患者は不快な臭いを嫌うことが、特徴である。不潔な臭いには過敏であるが、不潔な物自体は、食べたり、飲み込んだりする。自分の体や息の臭さでさえ、吐き気を催す。

便はとても不快な臭いで、一日中彼に付きまとう。彼は自分がそれが匂えると思っている。悪臭に敏感なため、彼は何よりも腸をきれいにする。これは誇張された嗅覚だ。彼はいつも不快な臭いを想像して探している。彼は一般的には、強い想像力があり、記憶の中にしかないものを嗅ぐ。

Sulphurの患者は、全体を通して不潔である。彼は不潔な臭気の犠牲者である。不潔な息で、強烈な悪臭の便が出る;性器は不潔な臭いがし、服を着ているにもかかわらず、部屋の中でもその臭いがし、自分自身がその臭いがする。 分泌物は、常に多かれ少なかれ悪臭がし、強く不快な臭さがする。常に洗っているにもかかわらず、脇の下からは刺激的な臭いがし、時には、体全体が腋窩から出るような悪臭を放つ。

身体のあらゆる部分から出るSulphurの分泌物は、不快であるだけでなく、皮を剥く。Sulphurの患者は、あらゆる粘膜のカタルに悩まされ、カタルの排出物はいたるところで皮膚を剥ぐ。鼻風邪では、分泌物で唇や鼻の皮が剥けることが多い。

時には、鼻に残った鼻水は火のように痛く、それが子供の唇に触れると、燃えるように痛く、刺激的である;Sulphuricum acidの状態とほぼ同じで、触れた部分が赤くなる。

月経は大量で、性器の皮膚が剥ける。薄い便が、肛門の周りで、燃えるように痛く、皮膚が剥けたようになる。女性の場合、尿が一滴でも性器に残っていると、燃えてひりひりする;多くの場合、拭くだけでは不十分で、洗い流さないと痛みが和らがない。

子供の場合は、肛門と臀部の間が表皮剥離を起こしているのが見つかる;便によってその裂け目全体が赤く、皮膚が剥け、炎症を起こしている。この傾向から、一つの基調が出来上がり、当たるとも遠からず、「いかなる体液も、通過する部分を燃やす」は、体液が刺激性で、ヒリヒリした痛みを引き起こすと言っているのと同様である。これはSulphurのどこにでも当てはまる。

Sulphurの患者は、あらゆる種類の発疹が起きる。

小水疱、膿疱、癤、鱗状の発疹があり、いずれも強い痒みを伴い、中には分泌物や化膿を伴うものもある。皮膚は発疹がなくても、痒みが強く、暖かい寝床からや、ウールの服を着ることから痒くなる。

Sulphurの患者は、絹や綿以外のものを着られないことが多い。痒いところを掻くことができないと、部屋の暖かさで絶望に追い込まれる。掻いた後は、痒みが緩和されるが、燃えるような痛みがある。掻いた後、または寝床の暖かさに入った後、大きな白い湿疹が体中に出てきて、さらに痒くなり、そのため、皮が剥げるまでか、燃えるように痛くなるまで掻き続けることになり、その後か痒みがおさまる。

この過程は継続し続ける:夜寝ている間、恐ろしいほどの痒みが起き、朝起きるとまた始まり、発疹は痒く、ジクジクする。オデキの群れや小さなオデキのような発疹が出てくるので、とびひにも有効。

このレメディは膿瘍に有効だ。あらゆる種類の化膿性の腔、小さな膿瘍や大きな膿瘍を形成する;皮膚下や、細胞組織、内臓の膿瘍を形成する。Sulphurにおいては、化膿の傾向が顕著である。腺が炎症を起こし、その炎症が化膿へと進む。

Sulphurの病訴が起きる所はどこにでも、燃焼性が見つかる。

あらゆる部分が燃える;うっ血しているところが燃える;皮膚が燃える、または皮膚に熱感がある;あちこち部分的に燃える;腺、胃、肺が燃える;腸、直腸が燃える;痔が燃えヒリヒリする;排尿時に燃える、または膀胱に熱感がある。あちこちに熱感がありますが、Sulphurの特に典型的なものを、患者が説明する時、「足の裏や、手のひらや、頭のてっぺんが燃える」と言う。

足の裏の燃焼感は、患者が寝床で温まった後に、気づくことが非常に多い。Sulphurの患者は、夜寝床に入ると足の裏が非常に熱くなり、燃えるようで、足を衣服から出して、足を布団の外に出して寝る。Sulphurの患者の足の裏と手のひらを調べると、皮膚は厚く、寝床で温まると燃焼する。

多くの病訴は、寝床で温まることによって起こる。Sulphurの患者は、暑さにも寒さにも耐えられないが、外気を強く欲している。均一な温度を欲っする;激しい温度の変化は、苦手である。

呼吸に関しては、苦しい時には、ドアや窓を開けたがる。しかし、しょっちゅう体はわざわざ覆うのだが、暖かい服で、皮膚のかゆくなったり、燃えるよう痛くなってしまう。

時間の悪化については、晩に起きる病訴が特徴である。

頭痛は夕食後に始まり、夜になるとひどくなる;痛みのために眠りにつくことができない。夜痛みが起き、夜喉が渇く;夜苦しくなり、寝床で温まると皮膚の症状が出てくる。

「断続的で周期的に起きる神経痛は、24時間ごとに悪化し、一般的には午前12時または午後12時に発生する」

真昼もSulphurの病訴が悪化する時間帯だ。正午に寒気がし、正午には熱が上がり、正午には精神的な症状が増し、正午には頭痛がひどくなる。週に一度の病訴、7日間の悪化は、Sulphurのもう一つの特異な状態である。

Sulphurの患者によく見られる下痢は、昔から「Sulphurの下痢」として知られているが、他の多くのレメディーにも、早朝に下痢をするという同じような症状がある。

Sulphurの下痢は、深夜から朝にかけての時間帯に属するが、起きようかと思い始める時間帯の方が、よく見られる。

下痢のため、寝床から飛び出す。

一般的には薄い水状;噴出はあまりなく、量もあまり多くなく、時にはかなり少なく、黄色い便が出ることもある。この朝の便の後、多くの場合、翌朝までそれ以上の問題は起こらない。

朝、寝起きに便意を催すという症状が、年がら年中続いている人が多いようだ。腸の痛み、つかえ感、不安感、焼け付くような痛みに悩まされる。通過する便は燃えるようで、便が触れる部分はどこでも、痛く、表皮を剥ぎ、かなり擦りむく。

Sulphurの患者はとても喉が渇いている。

いつも水を飲んでいる。大量の水を欲しがる。

また、空腹感や食べ物への欲求を口にするが、食卓につくと食べ物を嫌がり、目をそむけ、食欲がない。

ほとんど何も食べず、非常に簡単で軽いものしか口にしない。刺激物やアルコールを欲しがり、牛乳や肉を嫌う;後者は気分が悪くなるので、嫌いだ。

随分前、ある人は、これらのことから「よく飲み、ほとんど食べない」というキーノートを考案した。

これはSulphurの場合そうだが、他の多くのレメディーでも同じことが言える。キーノートの使用に関しては、すべての症状とその関連性をまとめるのがよいと、諸君に印象づけたい。1つの小さな症状、あるいは2つ、3つの小さな症状に、大きく依存することはできないだろう。症例全体の症状を考慮した上で、キーノートや特徴、その他すべてのものが、レメディーを丸みを帯びた完全なものにし、患者全体のように見える時、初めてそれが適したものとなる。

午前11時に空虚さが生じる。24時間の中で空腹を感じる時間があるとすれば、それは11時である。夕食が待てないようだ。

Sulphurの患者について、こういう事もある:いつもの食事時間になると、非常に空腹になり、食事が遅れると、弱って、吐き気をもよおす。12時頃に食事をする習慣のある人は、午前11時に、空っぽの空腹感を感じる。1時や1時半に食事をする習慣のある人は、12時頃にその感じが起きる。空っぽの感覚は、多くの人の場合、食事の定刻の約1時間前に起きる。

強いSulphurのグループを凝縮するとこうなる;午前11時に胃の中が空っぽの空腹感になり、足の裏が燃えるようになり、頭のてっぺんが暑くなる。

この3つは、Sulphurの必須条件とされてきたが、Sulphurの始まりには、ほとんど見られない。

Sulphurには、発疹の他に、皮膚の不健康な状態がある。

皮膚はよくならない。小さな傷は化膿し続ける;皮膚の下にできた膿瘍は、瘻孔のある小さな排出腔となり、これらは漏れて、長い間分泌される。

Sulphurは、炎症部分に浸潤を作り出し、そのため、そこが硬くなり、この硬さが何年も続く。炎症が肺のような重要な器官に起きた場合、この浸潤は常に耐えられるものではない;肺炎の後に、肝炎と呼ばれる浸潤を残す。

Sulphurは、全身の炎症部位に同じ傾向を作り出すため、肝変の治療によく使われる。

Sulphurは、有機組織における乾癬の状態のため、疾患が長引いた後に、患者が反応しない場合、非常に有用なレメディである。急性疾患の終わりあたりになると、患者は弱り、疲労困憊になる。炎症状態は、化膿や浸潤となる;患者は衰弱し、かなり疲労困憊し、寝汗をかく。

腸チフスなどの急性疾患の後に回復しない。回復が遅く、有機組織も疲弊しており、急性疾患の後、調子が戻らない。このような状態では、Sulphurがしばしば非常に有用になる。老齢の酒飲みは衰弱し、アルコールへの激しい渇望がある;酒をやめることができない。強くて刺激的なものを欲しがり、何も食べたくなく、冷たい水やアルコール飲料を欲しがる。非常に疲れるまで飲み続け、病訴が現れる。Sulphurは、しばらくの間、この酒への渇望を取り除き、元気にしてくれる。

組織は弱くなっているようで、わずかな圧力でも痛みを感じ、炎症や化膿を起こす事もある。Sulphurの患者は、血行が悪いため、床ずれができやすい。また、圧迫による硬化も強い特徴だ。

Sulphurは、圧迫により魚の目や、豆ができる。これらの症状は簡単に現れる。靴が皮膚のどこかを圧迫すると、大きな魚の目や外反母趾ができる。歯が舌や頬腔の他の部分と接触すると、小結節が形成され、これらの小さな小結節は時間の経過とともに潰瘍化し始める。

燃えるような、刺すような痛みを伴いながら、ゆっくりと進行する。癌になることもある。長い間延期されて、その後、悪性の状態になることもある。癌は体内のある状態の派生物であり、その状態は連続した状態から来ているかもしれない。1つの連続した状態ではなく、悪性状態が、良性状態に後続しているのかもしれない。Sulphurは、症状が一致した場合、これらの状態を取り除く。

Sulphurでは、静脈の乱れが顕著に見られる。静脈のレメディーであり、静脈の問題が多い。静脈が弛緩しているように見え、循環が停滞している。天候や衣服などのちょっとした刺激で、顔があちこち火照る。

顔が腫れる。Sulphurは静脈瘤がある;最も顕著なのは痔の静脈で、肥大して燃えるような、刺すような痛みがある。四肢の静脈瘤。静脈が潰瘍化し、破裂して出血することもある。寒いところから暖かいところに出ると、静脈が肥大し、手足が膨らみ、全身が膨らんだような感覚に陥る。

Sulphurの患者はやせ細り、特に腹部の膨張を伴う四肢のやせが特徴的である。腹部は肥大しており、ゴロゴロとした痛みや灼熱感があり、腹部の肥大に伴って他のすべての部分が痩せていく。首、背中胸郭、四肢の筋肉が衰え、腹部の筋肉も衰えますが、腹部自体の膨らみが大きい。このような状態はマラスムスに見られる。

Calcareaでも同じような状態になる;Calcareaを必要とする女性においては、腹部の大きな肥大、膨張、硬さと、体の他の部分の収縮が見られる。

Sulphurの下では、女性の更年期に見られるような、顔や頭への火照りがある。Sulphurの火照りは、一般的には胸部と言われる心臓部のどこかで始まり、まるで、体の中で熱の暖かさが、顔に向かって上がってくるような感じがする。顔は赤く、熱く、紅潮し、最終的に熱は汗で終わる。

汗と赤ら顔を伴う熱の火照り;頭は暑い。時には、熱い蒸気が体の中に入ってきて、だんだん上がってくるような感じを患者が表現し、汗をかくこともある。時には、小さな震えに続いて、閃光のような暑さと、顔に赤い斑点を感じ、激しく扇ぐ;扇ぎきれず、ドアや窓を開けたがる女性を見かけることもある。

SulphurやLachesis などがそれにあたる。火照りが胸や心臓のあたりで始まる場合は、Sulphurのようだが、背中や胃のあたりで始まる場合は、むしろPhosphorusのようである。

他の一般的な悪化の中において、Sulphurには、立つことによる悪化がある。すべての病訴は、長時間立っていると悪化する。Sulphurの患者にとって、立っていることは最も困難な姿勢であり、精神の混乱、めまい、胃や腹部の症状、女性の場合は静脈の肥大感や膨満感、骨盤の引きずりなどが、立っていることで悪化するのである。患者は座っているか、立ち上がっている場合は、動き続けなければならない。歩行はかなり可能であるが、静かに立っていると悪化する。

睡眠後の悪化は、Sulphurの多くの病訴に当てはまるが、特に精神と感覚の病訴に当てはまる。Sulphurの病訴の多くは、食後に悪化する。

Sulphurの患者は、入浴によって悪化する。風呂を恐れる。自分からは入浴しないし、その状態からして、彼は 「偉大なる不洗者 」に属する。風呂に入ると必ず風邪をひく。

子供たちの病訴。汚い顔、汚い肌の小さないたずらっ子で、毎晩せん妄の発作を起こしたり、頭の痛みに悩まされたり、脳に悪い問題を抱えていたり、水頭症の恐れがあったり、髄膜炎にかかったことがあったりする子は、Sulphurが必要である。

Sulphurは、レメディーが十分な深さに達していないため、症例全体に到達できなかった場合に、体質的な状態をクリアにします。乳児がきちんと成長しない場合や、骨が成長しない場合、泉門の閉鎖が遅れている場合には、Calcarea carbonicaがそのレメディーとなり、そのような成長の遅い場合には、Sulphurは次に来る重要なものである。

Sulphurの患者は、それほど神経質ではないと思われがちだが、興奮しやすく、音にすぐに驚き、大砲の音を聞いたか、「お化け」を見たかのように、寝ていてもすぐに目が覚めてしまう。

Sulphurの患者は、睡眠時に多くの問題を抱えている。夜前半は非常に眠く、午前3時まで眠ることもあるが、それ以降は落ち着かない状態で眠っているか、まったく眠らないかのどちらかである。昼の日光を恐れ、また寝床につきたがり、寝ると目が覚めず、朝方まで寝ていたくなる。その時が最も良い休息であり、最も熟睡できる時である。恐ろしい夢や悪夢に悩まされることも多い。

症状が一致すれば、Sulphurは丹毒の治療薬となる。名前としての丹毒には、治療薬はないが、患者が丹毒を患っていて、その症状がSulphurの症状と一致する場合は、Sulphurで治すことができる。

この違いを頭に入れておけば、ホメオパシーの意味がわかると思う。病気の名前ではなく、患者自身を治療するのだ。

Sulphurの患者は、有機組織を通じて、あちこちで血の波が押し寄せ、頭が膨らみ、前述の瞬間的な熱に悩まされる。熱性の症状が顕著であり、急性疾患に使用することができる。

これは、Aconiteの自然な補完関係の一つであり、Aconiteが急性の悪化に適しており、それを除去する場合、Sulphurが患者の体質に対応することが非常に多い。

Sulphurは、衰弱した体質や同化作用に欠陥のある、非常に厄介な「瘰癧」の病訴に適している。下肢に深く沈んだぼろぼろの潰瘍があり、不定形の潰瘍、肉芽ができない潰瘍が起きる。それらは、燃えるように痛く、滲み出てくるわずかな湿気が、周囲の部分を燃焼する。出血しやすく、燃焼の多い静脈瘤の潰瘍によく使われる。

痛風の老齢者の症例において、Sulphurは有用なレメディーである。これは深部に作用するレメディーであり、その傾向は、中心から円周に向かって外に向かうため、ほとんどの場合、これは痛風を四肢に留めるだろう。

LycopodiumやCalcareaと同様に、有機的な変化があまり見られない老齢者の痛風の状態に、適切に投与すると、関節や四肢に、リウマチ状態を維持するだろう。

SulphurはSiliceaと同様に、重要な器官、特に肺の構造的疾患がある場合に与えると、危険な薬となる。

Sulphurは、症状によって示される場合、古い瘻管を治癒し、古い膿瘍を正常な状態にして、健康な膿が続くようにすることが多い。症状が一致している場合は、非常に遅く、何もしていない膿瘍を開き、硬く膿みかけている腺の炎症を抑える。

しかし、肺結核の進行した症例に投与するには、危険な薬であり、投与する場合には、最高ポテンシーで処方すべきではない。非常に痛がる症状があり、Sulphurを投与しなければならないと思う場合は、30ポテンシーか200ポテンシーにしなさい。

症状からSulphurが示されているように見えても、進行した段階で起こる寝汗を止めようとしてはいけない;実際には、示されていないのだ。いかなる場合でも危険なレメディーは、たとえ症状が似ていても、示されていると考えてはいけない。
梅毒の老齢者の症例で、乾癬の状態が最も高い場合には、Sulphurが必要になることがある。梅毒の症状が強く出ている場合に、Sulphurが示されることはほとんどないが、水銀によって症状が抑えられていて、病気が単に保留されているだけの場合、Sulphurは水銀を解毒し、症状が進行して、元の状態が見られるようになる。

アロパシーによる大きな被害は、有機組織にあるすべてのものを隠そうとしていることに起因する;彼らは、人類におけるすべてを恥じているかのように振る舞う;一方、ホメオパシーは、人類におけるすべてを明らかにし、覆い隠している薬を解毒し、押さえつける病気を解放しようとする。

梅毒の発疹を見せたくない、軽率な行為の証拠を見せたくないという理由から、多くの患者がホメオパシーを受けようとしないのは事実であり、ホメオパシーはそれを現そうとする。適切なホメオパシーの治療を受ければ、有機組織の状態が明らかになる。Sulphurは、病訴を表面化させ、目に見えるようにする。これは一般的な解毒剤である。

風邪による、或いは薬による発疹の抑制、さらには硫黄による発疹の抑制によく用いられる薬である。これは、これまで説明してきたこれらの事柄を発展させる素晴らしい薬であり、したがって、発疹の抑制や薬物による抑制に有用なレメディーのリストには必ずSulphurが含まれている。

急性の発疹が抑制されている場合でも、Sulphurは貴重なレメディーとなる。抑制された淋病では、Sulphurはしばしば、排出を開始し、消えてしまった状態を再構築するためのレメディーだ。抑制された症状が戻らなければ、治療は不可能である。

Sulphurは、その歴史の最初から、つまりハーネマンの時代からのレメディーであり、ハーネマンの推奨により、処方すべき症状が少ない時、つまり乾癬による症状が潜在している場合に、考慮されるものであった。この状態では、非常に多くの恩恵を受けて与えられてきたので、定番で処方する医師は、その事実を学んできた。

一見(表面的には)よく示されたレメディーが患者を保持できず、よりよいレメディーを探しても症状が見つからない場合、Sulphurが有機組織を深く握り、レメディーがよりよく作用するのは事実である。

この事は経験からもよくわかる。よく示されていると思われるレメディーを与えても、それがその症例を掴んでいないことがあり、次に最もよく示されているレメディーを与え、さらに次のレメディーを与えても、同じ結果になることがある。

なぜなのかと思われるだろうが、症例が明らかにSulphurを必要としていないにもかかわらず、Sulphurを投与することで、基礎的な症状(乾癬が基礎疾患であることが多い)に密接に適合し、レメディーがよりよく作用することがわかる。

これはハーネマンの時代から、老人全てによって確認されてきた観察結果である。

このようなことが必要になるのは、症状が乏しい場合に限られる。多くの検討を経て、最善と思われる方法、つまり、観察及び、全人種の体質の基礎となる条件を知った上で、ある程度正当化できる方法に頼らなければならない。

症状の少ないこれらの症例の根底には、潜在的な状態があり、それは乾癬、梅毒、淋病のいずれかであることがわかっている。もし梅毒だとわかっていれば、梅毒に似たレメディーの中からトップのものを選ぶだろう。

淋病であることがわかっていれば、淋病のように見えるレメディーの部類のトップを選択する。Sulphurは、根底にある乾癬に似たレメディーのリストの先頭にある。従って、根底にある体質が乾癬であることが分かっていて、それが隠された症例であれば、Sulphurは潜在的な原因を開き、積極的な治癒には作用しないとしても、症状をよりよく表すことは事実である。また、Sulphurが乾癬に対するように、Mercuriusは梅毒に対して、Thujaは淋病に対する。

ペンシルバニア州の石炭地域では、鉱山で働く人や鉱山の周辺に住む人々が、Sulphurを必要とすることが多い。石炭は硫黄だけでできているわけではなく、他にも多くの成分が含まれていることは知られており、石炭を扱う人はSulphurを必要とすることが多い。カオリンや陶磁器の製造に使われる様々な製品を常に粉砕している人や、石材関係の労働者は特にCalcareaとSiliceaを必要とするが、炭鉱で働いている人はSulphurを必要とすることがよくある。その患者はSulphurの患者のように見える;彼らの外観はそのようで、たとえ症状が一部に限定され、他のレメディを要求しても、そのレメディからよい作用が得られないが、 Sulphurの一服で、どんどんよくなる。

それは、石炭に多くの硫黄が含まれているためだと信じている人もいる。我々は、このような事を、できるだけ理論化しがちだが、低いポテンシーを高いポテンシーで解毒する習慣には陥りたくない。最後の手段として、その方法を使うだけだ。

レメディを示す症状がない場合、初めてそれを試してみる時であり、正確な人は制限を設けるため、そのような人によってなされた場合のみ、正当と認められる。その人はレメディの与え方を知っている。そのような人は、症状が語りかける限り、それぞれの症例における症状によって導かれる。

精神面は、その人の真実が外に出て、本当の内面の性質を前面に表すもので、Sulphur は、愛情の価値を低下させ、顕著な自分勝手な状態へと駆り立てる。他の人の望みや要求を考慮にいれず、自分のことだけ考える。考えるのは全て、自分の利益の事だけである。この自己中心さがSulphurの患者を貫く。感謝の気持ちは全くない。

哲学狂もまた、顕著な特徴である。偏執狂で、変な抽象的な事や、オカルト的な事、知識を超える物にはまる;形のない様々な事を研究する;変わった特別な事に思いふける。

初めの原因に関し、ある事から別の事へ連続して移しているのを、Sulphurが治している。 原因は何なのかと、あれこれ考え込んでばかりおり、最終的には、物事を神学へ起し、そして「誰が神を創ったのか」と尋ねていた患者を治している。

その女性は部屋の隅に座って、ピンの数を数え、「誰が神を創ったのか」とという解決できない問題に思いを馳せる。

炎症状態においては、炎症部分が紫色に見え、静脈充血がSulphurにおいて見られる。
麻疹が紫色で現れると、Sulphurが要求されることが非常に多い。Sulphuは、素晴らしい麻疹のレメディの一つである。

お決まり通り処方する人は、この疾患にはPulsatillaやSulphurでかなりうまく行き、時にはAconiteとEuphrasiaを必要とする時もある。特に皮膚が浅黒く、麻疹が出ない場合は、Sulphurがその症例を修正するだろう。この紫色は、丹毒や喉の痛み、前腕、脚、顔など、そこら中に見られるだろう。

予防接種で酷くなった場合は、Sulphurで治る事がよくある。これに関してはThujaやMalandrinumと競い合う。

手工芸品を見ると、必ず誰が作ったかを聞かずにはいられない女性がいた。その創作者を探し出すまで、決して満足せず、そして、その人の父親は誰なのかも知りたがる;患者は座って、あの人は誰なんだろう、アイルランド人なのだろうか、など思いを巡らせる。

それがSulphurの特徴である。それを見つける希望も全くなく、答えを得る可能性も全くい
類の理論である。それは、基盤があり、追求でき、連続した理論があり、真実に関する理論がある哲学ではなく、基盤のない擦り切れた、狂信的な哲学である。

Sulphurは、整然としたやり方に従う事を嫌い、現実的な仕事を嫌い、系統だった業務を嫌う。 Sulphurの患者は、いわゆる発明の天才である。頭にアイデアが浮かんだら、それを除外できない。偶然何かになるまで、それを追いかけ、そのようにして発明することが多い。

Sulphurの患者は、このようである。この人は、大抵無知で、自分は偉大な人物だと想像する:彼は、教育を見下し、文士やその業績を軽蔑し、自分は教育を超越している事を、どうして皆わかってくれないのだろうか、と不思議に思う。

また、この患者は、宗教的に落ち込んでおり、理性をわきまえた宗教について考えず、自分自身について馬鹿げた考えについて、考え込む。患者は絶え間なく祈り続け、いつも自分の部屋に閉じこもり、希望もなく、うめく。自分は、恩恵を受けられる日を、自分の罪で逃してしまったと思っている。

Sulphurが必要な患者は、思考が鈍く混乱している状態であることが多く、思考を集めることができず、集中力が欠けている。座って一つのことをずっと考え込み、何かに気を集中させようとしている。朝起きると、思考が鈍く、頭が充満し、目眩がする。外気中で、目眩がする。外気中で、頭が一杯で鈍く、鼻風邪をひき、そのため気が混乱する。

テキストには、広範囲に渡って、使用されてきた、という表現がある。

「馬鹿げた喜びとプライド;自分は美しい物を持っている、と思っている;ボロ布さえ美しく見える」。

狂った人や、ある考えを除いては狂っていない人に、そのような状態がある。

Sulphurの患者は仕事を嫌う。座って何もせず、奥さんに洗濯させ、自分の世話をさせるため「働かせて、妻の爪を剥ぎおとす」;そして、それが妻にとっていいと思っている。

Sulphurの患者から、品がある状態がなくなってしまったように見える。Sulphurは、潔癖な物全てに対して、真反対である。 Arsenicumは典型的潔癖症であり、この2つのレメディは、極端に相反している。Arsenicumは、自分の服は素敵で清潔で、全てハンガーにきちんとかけてあり、絵は全部壁にきちんとかけてあり、全部素敵できれいにしておきたい; そのため、Arsenicumの患者は、その素敵さと潔癖さ、清潔さのため、「黄金の握りが付いた杖」と呼ばれて来た。その全て真反対なのが、Sulphurの患者である。

「仕事も、楽しみも、話す事も、動く事も、何もかもが嫌;心身共に怠惰」
「生きる事に飽き飽きし、死を切望する」
「気だる過ぎて、起き上がれず、不幸せすぎて、生きられない」
「(子供は)洗われる事を酷く恐る」

そう、シャワーを浴びるとなると、その子は大泣きするだろう。Sulphurの患者は、水を恐れ、入浴して風邪をひく。

関係についてだが、Lycopodiumの直前にSulphurを与えてはいけない。Sulphur、Calcarea、Lycopodiumという順番で回るグループに属している。

SulphurはLycopodiumの後だと、うまく行く。SulphurとArsenicumもまた関係がある。 しばらくの間、Sulphurで症例を扱い、その後しばらくの間Arsenicumが必要で、それからSulphurに戻る事が非常に頻繁にある。Sulphurは、ほとんどの急性のレメディの後にうまく続く。

*Sulphur (ソーファー/硫黄) ②に続く


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