Ailanthus Glandulosa(ニワウルシ)

 この薬は特に、ジフテリアや猩紅熱、敗血症、症候性腸チフスに見られるような発酵病の初期に適し、特に部分的な毛細血管の鬱血によって、赤いまだらの点によって特徴付けられる症例に適する。おそらく、そのような初期疾患のタイプが非常に顕著に現れるのは、悪性の猩紅熱である。規則的な発疹は起こらず、赤くなった所がバラ疹のように見える。発疹の広がりという通常の形が失敗し、抑圧され、歯茎や鼻から血が出て、喉は恐ろしく腫れ上がる。顔つきは紫色で、ボーッとしており、目は充血し、目から出血さえある。とても疲れて見え、本当にぼーっとしている。患者は馬鹿げて、無感覚に見える。喉を見ると、まだらに小さな紫色で覆われており、Baptisiaで見られるのに似た、浮腫の様相と混じり合っている。これが鬱状態の病気の初期である。流れ出る血液は黒い。子どもはぼーっとした状態になり、刺激され得る困難を伴う。水膨れが指先や、体のあちこちにできる時がある。口や鼻から悪臭が出る。

 子どもはできるだけ速く悪性疾患の形に入る。時にはその疾患は、軽い熱病の発病として起きるが、風邪をひいたり、自然に表れた物を抑圧してから、症例が初期のチフスの形をとり、始めはシンプルな弛張熱であったのに対し、その症例は今や疲労の状態を負い、心臓がたいへん速くなり、悪臭があり、紫色や青色の受け身の鬱血で、皮膚に紫色の班でまだらに見える。疾患が突然敗血症になり、症候性腸チフスの状態が現れる。弛張熱が24時間ではっきりした発酵病の状態になり、痴呆とまだらな皮膚を伴う形をとるジフテリアは、このような病気のタイプの一例である。

 この状態を伴う精神面の症状は、興味深い物である。私が書いた注釈を読む。目覚めているが、精神面が夢心地の状態が続く。子どもはずっと泣いている。ネズミのような小動物が、走り回っているのが見える。ネズミか何か小さな物が手足を這い上がったり、体を横切るのを感じる。記憶を失い続けるようで、ちょっと前に話した事さえ頭から出て行く。忘れ続ける。過去に起きた事をすべて忘れる。過去の出来事は忘れるか、或いは誰か他の人の事だとか、本で読んだ事だと記憶する。その事は夢心地の状態と一致しており、過ぎ去った事が、まるで夢の中で現れるか、またはまるでその事を夢を見たかのように思える。精神活動に頭を集中させられないし、正確に質問に答えられないで、まるで半意識状態にいるかのようで、最終的に完全に無意識になる。この発酵病の状態の初期に、ひどい不安と落ち着きのなさが起き、後に痴呆になったり、何についてでも無関心になる。精神の落ち込みを伴い、ずっとため息をつき続け、極めて苛立ち、半意識状態で、最終的に無意識や痴呆、せん妄、無感覚状態になり、不眠や落ち着きのなさを伴い、ブツブツと言うせん妄に陥る。この精神面の状態は発酵病に起き、慢性病がしっかり出て来ない。Wells博士はこのレメディーを多くの症例に使い、当時ブルックリンで流行った猩紅熱のためのレメディーとして使い、多くの患者を治している。それは悪性の猩紅熱の特徴を、穏やかなタイプに変える事ができたようだ。

 テキストの症状に加えて、頭髪が抜け、夜目蓋を閉じる前に、光がひらめく事が観察されている。「瞳孔は広く拡大し、鼻から多量で、薄く、膿と血の混じった分泌液が出る」。その事は猩紅熱における発酵状態で起きる。「鼻腔は鬱血する。ひどく疲労し、顔の表情はかなりの苦悩を示す。顔はマホガニーのように暗い色をしている」。それは、抑圧された猩紅熱に起きる。紫色で、膨張し、プクッと膨れ、ボーッとした顔。このレメディーはあまり使われないし、あまり示されないが、示された場合は非常に有用である。悪性の猩紅熱でさえ、この特別なタイプはあまり見られないだろう。他のレメディーに向かう猩紅熱をよく見るだろうが、このレメディーは非常に悪性タイプの一つに一致し、悪性タイプに多く向かう症例における、流行病において、最もよく使われる。猩紅熱に共通する3つのタイプがある。ある時期は穏やかで単純な症例が見え、典型的な発疹があり、あまり熱が出ずに素早く現れる。そのような症例は、よく養生し暖かい部屋で、あまり薬を与えず厚着させれば、自然に治るだろう。肌は鮮やかな赤色で、滑らかで、ピカピカしている。症例は深刻でない。他の流行病では、多数の症例が喉に顕著に問題があるが、この種類から孤立した症例だけが見つかるだろう。発疹はあっても少なく、頭が鬱血し、背骨の症状は痛みがうなじかに起きる。喉は恐ろしく腫れ、炎症を起こし、鮮やかな赤で、非常に痛い。そして3番目のタイプは、喉が深刻に腫れ、粘膜はすべて腫れ、傾向はすべて、敗血症か発酵に向かい、腺の肥大や皮膚の膨らみ、かなりひどい悪臭を伴う。皮膚はくすみ、発疹はまばらで、始まりと終わりがほとんど見えない時もある。このような症例は、彼らを一人にしたら、ほとんど皆死んでしまうだろう。それは非常に深刻である。昔の作家たちはこの3つの形を「単一猩紅熱、アンギナ猩紅熱、悪性猩紅熱」と呼んだ。流行病で、この3つの外観をすべて見る事があるだろう。家族によっては2つの形を見る事もあるだろう。1人の子どもは穏やかなタイプで、別の子はもっと深刻で、その子が長く生きられれば、発酵性の水腫れがあちらこちら、あるいは指の付け根にでき、それは強い悪臭を伴い、水腫れが壊れるとすぐに、潰瘍ができるが、これは死に至る症例であり、悪性のタイプである。猩紅熱の初期に発疹が出ない時でさえ、指の印象は白い印ができ、それはゆっくり一杯になる。それが顕著になればなるほど、ひどくないタイプである。発酵が多ければ多いほど、循環が弱くなり、特にこのレメディーにおいてはこの状態がある。発疹が起きなくても、皮膚の鬱血状態があり、静脈の受け身の状態がある。かなり多くの薬にそれがあるが、Veratrum virideが圧迫で皮膚にできた線が長い間残るような血管運動神経麻痺を作り出す。このような発酵性の疾患すべてにおいて、時には死体のような、時には臭い肉のような腐敗性の悪臭があり、この事はこのレメディーが示される病気の軽いタイプに見られるだろう。

 「喉はかなり腫れ、暗い赤色で、ほぼ紫色。極端な疲労を伴うジフテリア。喉は鉛色で、腫れ、扁桃腺は 顕著で、深い潰瘍で覆われてる」。まるで浮腫の状態ように圧力でくぼむかのように、喉と扁桃腺はしょっちゅう現れる。下痢が起きる反応があるこの発酵の症例のいくつかにおいて、それは恐ろしい不快臭で、危機的な下痢がある。それがどんな病名であれ、この発酵の状態と共に、うなじと頭が痛い。

 「呼吸は速く、、不規則で、重い。掌と足の裏が燃えるようで、それを差し出せる涼しい所を捜す。ネズミが脚を駆け上がって来る感じがする。まるでヘビが脚を這い上って来る感じ」。このような精神面の症状が、私のプルーバーたちに起きた。突然で極端な疲労によって、特徴付けられる軽い無力性の疾患、「嘔吐。脈は小さく速く、皮膚が紫色に見える」「頭から手足まで電撃的なしびれ」「午前8時に寒気がし、寒気と熱と汗を伴う」。寒気の間、食べ物を吐き、臀部に穴が開くような痛みがある。寒気は悪性の発疹に先立ち、特に顔や額の上の発疹に。「寒気の間にお腹が空き、空っぽの感じがし、うなじや、背中上方と股関節に我慢できない痛みがある」。うなじのその痛みは、共通して軽い発熱の前兆である。それは一般的に、熱を伴い頭が一杯になる事で特徴付けられる、ひどく激しい鬱血性の発病の前に来る。

 テキストに述べられているこの粟粒状の発疹は、麻疹のように見え、猩紅熱の発疹や、麻疹の発疹がおきまりのように現われないが、まだらに、あちこち小さい円で、暗い色で、不規則で、まだらで、鉛色の発疹で、圧迫によって消え、非常にゆっくり戻ってくる。小水疱がまき散り、額や頭、首、胸が悪化する。 発疹は2日間、喉の痛みと、穏やかな発熱を伴い、ほとんど表れない。この発疹は腸チフスの形で見られる、点状出血のよう。猩紅熱におけるこのレメディーの記録は、価値ある将来の研究となり、我々がそれを十分理解できる事を再証明されるべきである。「発疹は多く、青っぽい色合い。チフス性猩紅熱」「発疹はゆっくりその姿を現し、鉛色に留まる」「体と手足は、非常に鉛色の、不規則なパッチにような発疹で覆われる」。ここでは猩紅熱の一つのタイプだけが見られる。この微熱のタイプはSulphurかPhosphorus、Belladonna、Baptisia、Lachesisが必要な事がある。他者と違いを見分け、マテリア・メデイカをしっかり勉強して、それぞれのレメディー・ピクチャーを記憶しなさい。始めにそれぞれ一つずつ別々に勉強しったら、自分でレメディーを比べるのは簡単になる。そうすれば多くの比較を引き出す事ができ、特にこの症例では寝床における事である。マテリア・メデイカの一般的な知識をしっかり持ってベッドに行けば、病気の兆候によって呼び起こされ、頭に浮かぶ多くの症状に驚くだろう。猩紅熱の患者の病床に行く時に、猩紅熱にお勧めと聞いた薬の名前を思い出してはいけない。患者の様相から、この患者のように見えるレメディーを思い起こしなさい。それが猩紅熱に関連しようがしまいが構わない。皮疹を見たら、諸君はおそらくAconite の皮疹のように見えると言うだろう。だがAconiteの特徴にはそのような発酵病は乏しく、それ以上考えられない。その皮疹はテカテカし滑らかで、典型的なシデナム病の皮疹であるのでBelladonnaは合わなない。一方、Pulsatillaは麻疹の皮疹があり、微熱の形と関連する事がよくあると言う。だが、チフスのタイプほど低くないので、Pulsatillaは除外する。今、発酵病の状態すべてで典型的なレメディーの事を考える。衰弱、睡眠後に悪化、一般的な痴呆やせん妄、ほぼ一目でLachesisが見える。このようなタイプの疾患だ。迅速に頭に絵が入る。ほとんど皮疹がない猩紅熱の別の症例を見る。目の前の子供は唇や鼻の皮膚を摘み続け、蒼白状態で疲労困憊して横になり、それほど皮疹はなく、尿がほぼ抑圧されている。その瞬間諸君はArum triphの事を思う。レメディーを頭に浮かばせるのは、物事の側面である。別の症例では全身紫色の様相で、 このレメディーの話しはしたね。ひどく強い悪臭、かなりの喉の痛み、子供は冷たい水が飲めないが、ずっと喉に水を流して欲しがる。諸君は間違いなくPhosphorusを信用するだろう。このような疾患が低いタイプでは、ただ聞き、調べ、十分長く待ちさえすれば、常に何か話してくれる事がある。

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