Ammonium Carbonicum ( アンモニウム カーボニカム/炭酸アンモニウム )

もし我々が古いやり方を実践し、炭酸アンモニウムのいくつかの形におけるすばらしい揮発性の特質を考えるならば、 気絶や簡単な疾患を和らげる薬で、年取った女中や他の女性を楽にする鹿角精という形として使用する薬としてしか見ないだろう。しかし、Ammonium carb. は深く作用し、体質疾患のため薬で、抗ソーラの薬でもある。それは、速い血液変化の影響を与え、全有機的組織をかき乱し、壊血病の体質を確立する。その液体はすべて刺激性である。唾液は刺 激性になり、唇の皮を剥いで端と真ん中にヒビが入り、皮がむけ、乾燥し、かさぶたができる。目から出る刺激性の液体から、目蓋はただれ、乾燥し、ヒビが入る。便は刺激性で皮が剥がれるように痛い。女性の生殖器は、刺激性の生理 と帯下から皮がむけ、ひりひり痛く、皮膚上の潰瘍がある所はどこでも、そこから出る分泌液で周りの皮が剥がれ、この皮を剥ぐ特徴は、滲み出る液や分泌のすべてに属する。

 このレメディは、黒い血の出血があり、頻繁に流動的な血液で凝固せず、鼻や子宮、膀胱、腸から流れる。この血は濃 い色で、循環に大きな妨害が起きている事を示している。皮膚は非常に蒼白で、班がある。

 それは心臓に激しい作用を起こし、心臓の鼓動が聞こえ、動く度に脈を悪化させる。これと共にひどい疲労が伴う。 Amm. carb. は心臓発作から来る呼吸困難を克服する事を昔の人々が知っていた事と、今日アンモニア水または鹿角精が 今述べたような兆候においてある程度使われている事は、不思議な偶然である。彼らはそれを刺激物として使うが、単 一のレメデイが示された場合は、非常に高いもので十分だ。昔の人々は鹿角精を肺炎の初期の、次の段階に向かう転換 期に使う事も十分知っていた;これは古いアロパシーの治療だが、症例の中にはホメオパシーのような関係もあるもの もある。肺炎の末期で心不全を伴う衰弱のひどい段階の患者を救った事もあったし、そのような人を救ったので、将来 皆が使えるように薬として確立されたのだ。

 Ammonium carb.は敗血症に類似した状態があり、それは丹毒や猩紅熱の非常に悪性の形に見られ、衰弱やひどい呼吸困難を伴い、そのためまるで心臓が飛び出すかのように思える。これと共に、血管の麻痺状態のため、異常にむらのある状態があり、腺が大きくなり、顔がほの暗く腫れる。Amm. carb. は何世紀もの間、ただこのような状態においてアロ パシー的に使われて来ており、その効き目によってホメオパシー的な反応を見せて来た。

 単なる衰弱、弱い心臓、憔悴に属する。症状の欠如やレメディの反応の欠如がよくある。患者は動くと動悸や呼吸困難 が起きるため、ベッドに横にならねばならない。単なる弱さの疾患。 この症例は、1年半の間、非常に楽しみを与えて来てくれた。この街に住むある女性は、ちょうどこんな描写を述べてくれた;彼女の状態は動くと呼吸困難や動悸を伴う特別な心臓の弱さの一つだった;その症例をずっと扱っていたのだが、充分に調べていたわけではなく、私の療法で進歩しなかったので、彼女は私の手を離れて我々の知っている非常に有能な神経学者の一人に見てもらった。彼は「残り の治療」をし、6週間で完全に治るだろうと約束した。しかし彼女は6週間が終わる頃、今までよりひどくなり、それから心臓の専門医に回され検査を受けた。心臓の活気がないのは本当だが、有機的な影響はなく、結果的にこの症例は 自分の分野のものではない、とその医者は言った。そして、彼女は肺の専門医に回され、その後あらゆる種類の専門医 に検査された。彼女の内臓はすべて十分に調べられ、どこも何も問題は無いと言われた;だが、かわいそうなこの女性は苦しみと心臓の動悸で歩けなかった。彼女は少し乾燥した逆行する何にも発展しない咳があり、胸部を調べても何も 悪くなかった。しかし3ヶ月ほどの間、燃え続く火の中にいて、ずっと失敗し続けた後に、私を支持する彼女の家族は他の人たちに勝り、私は再び彼女に会いに行く事になった。私は症例の研究を続け、その症例は極めてあいまいで2〜3の症状しかなかったが、遂にAmmonium carb.に落ち着き、18ヶ月間このレメディが続いた。今や彼女の状態は上り坂になり、したい事は何でもし、家事にも戻れそうだ。彼女に積み重なっていた神経衰弱や精神疲労や他の診断の症例から、 彼女は一つのレメディで健康な女性になった。これは、このレメディがいかに深く作用するかを示している。一服は一 般に6週間から2ヶ月の間作用し、一刻ごとにしっかりとよくなって行った。

 生理期ごとに疲労困憊が来る。生理の初日にコレラにかかる、またはコレラと間違える;多量の下痢。Veratrum に見ら れるような吐き気や疲労を伴う疲労もあれば、寒さと青さ、衰弱、呼吸困難を伴う疲労もある。これまでに話して来た 呼吸困難の種類は、喘息性の呼吸困難ではない;心臓が弱いために起きる心臓疾患性の呼吸困難;しかし、このレメ ディにはまた喘息もあり、喘息にこの特性がある;部屋が暖かければ、窒息が起こりそうになるまで呼吸困難は増 す;まるで呼吸欠如のために死ぬようだ。楽になるため、冷たい空気の中に無理に出て行く。暖かい部屋で喘息性の不調 における呼吸困難が増す一方、 患者の身体面の状態は寒さから悪化する。身体と頭痛の不調は寒さから悪化する。

 このレメディを通して共通する事は、骨が痛む事だ。骨が折れそうに痛む。天候の変化や口の中の温度の変化のたび に、歯が激しく痛む。顎が痛い、或は歯根が痛い。 顕著な特徴は抜け毛、指の爪が黄色っぽくなる、歯茎が歯から離れ て出血、歯が緩む、すべて壊血病の体質と一致して。

 このレメディにはヒステリーがあり、神経質な女性が首飾りにつるしてアンモニアの瓶を持ち歩いているのは驚く事ではない。閉じ込められた所に行くとすぐ気絶したり、鹿角精を使わねばならないので、女性でこうする人は多い。女性 におけるこの状態は、穏やかな度合いにおいてはヒステリーではない;女性の繊細さに属する;だが、更に顕著な段階 になった場合は、ヒステリーになる。ヒステリーな気絶は、鹿角精を使う事で避けられるだろう。Amm. carb.は心臓の 作用を刺激し緩和する。

 レメディは精神面の憂鬱に溢れている。よく泣く、気絶、発作、不安、落ち着かない、動きから起きる疲労。他人が 言った事を聞く事に過敏。他人の話を聞く事から不調。精神面と身体面の不調は、双方とも湿気た天候で悪化し、冷たい、底冷えがする、湿気た天候に敏感。痛風性の不調、神経性の不調、衰弱、心臓の不調、呼吸困難、頭痛などが、底 冷えの天候で起きる。うっ血性の頭痛が湿気た天候や天候の変化から来る。額や目から脳がにじみ出るような感覚。

 「脈打つ、破裂するかのように額が脈打つ、鼓動する」。頭痛は足踏みから悪化、特に生理期間に頭痛が来る。朝、頭痛が悪化する。Lachesisはこのような衰弱状態をすべて作り出すため、先に述べた症状を伴うそのような頭痛におい て、この薬はLachesisとの解毒関係を示す。古いテキストにある「Lachesisに反目する」という表現に気が付くだろ う。これは Lachesisが高いポテンシーで与えられ、治癒の働きをしている場合、Ammonium carb.はその後続として 治癒の働きをせず、症例を妨げ、混乱させ、症状を混ぜてしまいうる事があるという意味だ。しかしLachが低すぎるポ テンシーで与えられ、患者が天然の薬から毒が入った場合、その作用に類似しているため、高いポテンシーで使用する とこのレメディは解毒剤となる。症例の有毒症状の多くを乗り越えるだろう。蛇に咬まれた事がある人の様相を調べ、 このレメディの病因を調べると、両者間に大きな類似を見る事だろう。このレメディは蛇に咬まれた時に繰り返し使わ れて来た事はよく知られている。見た所そのすべてを救ったではないが、このような症例に何かするに違いないし、さ もなければ、それ自身にそれほどすばらしい評判を打ち立てる事もないだろう。解毒剤自体として与えるのではなく、 敗血病に示される時や伝染病にかかった動物に噛まれた時、Elaps.のように黒い液体の出血の傾向がある時に与える。 蛇の毒を通して共通する事は、凝固しない黒い血液を出血する傾向だ。

 目の症状がたくさんある。頭痛とつながり目の前に閃光が見える;二重に見える;光を嫌悪する。「裁縫後、目の前 に大きな黒い点が見える」。先に描いて来たような体質の状態において、これらの症状が存在する時、そのレメディは 白内障を治している;それは患者を治し、ついには水晶体がよくなった。目が燃えるように痛く、目がうずき、目が充血する。

 聴覚障害、聞こえにくさや耳からの刺激性液体の分泌液を引き起こす。

 前述のような壊血病、鼻のカタル状態があった。鼻からの分泌液は刺激性。「深刻な痛み、まるで脳が鼻のすぐ上のか ら自分をあえて出しているような」「朝、顔や手を洗っている時、鼻血が出る」。入浴から多くの不調が起き、顕著な 特徴は、入浴後肌が赤く、まだらな点で覆われる事である。入浴はそこら中あちこちに脈動を起こし、鼻血も起こす。 入浴から動悸も悪化する。

 喉においては、悪質の猩紅熱やジフテリアやその他の伝染病の状態のような様相がある;紫、腫れる、潰瘍、出血、壊 疽、ひどい疲労を伴う、扁桃と腺の肥大を伴う。喉と肩の外部の腺が肥大化し、こぶのような感じがする。ジフテリア では、鼻が止まった場合、子供ははっとして眠りから目を覚まし、はあはああえぐ。患者が眠りに落ちてすぐ息が詰 まって目が覚める事があるため、ジフテリアや胸部の問題において、ひどい衰弱を伴い、患者が眠りに落ちてからまも なく息が詰まって目が覚める事より、ここでもまたLachesisや蛇類との関連に気づく、患者は睡眠後に悪化する。

 生理が早く来すぎる。「生理の血液は黒っぽく、だいたいにおいては固まりがある」。帯下は刺激性。「下腹部と膣に 激しい裂けるような痛み」「クリトリスの炎症」。生殖器の腫れ。さて、ここに表されていない重要な事を言わせてもら うが、それは骨盤臓器全体にある痛みの感覚である;時にはまるで自分の中にある物が生のように思える。ヒリヒリ痛 い感覚;いつも触って痛いとはかぎらない。深く根付いた痛さの感覚は生理中特に感じられる。生理期間中ずっとヒリ ヒリして痛く、皮がむけたよう。「生理は早く来て、豊富で、黒っぽく、よく固まっており、腹痛と疝痛が先導す る」。

 このレメディにはカタルの症状と咳がたくさんあり、胸や気管に多量の粘液がガラガラという音を伴う。呼吸の圧迫、 カタル性呼吸困難。特にこれは、症状が合い、肺の沈下性うっ血において、吐き出しにくい粘液が胸部に充満している 時のレメデイである;胸部に大きなガラガラと言う音があり、非常に衰弱している。これは、結核の末期段階における よい緩和剤である。胸が非常に冷たく、疲労、衰弱がある場合のAmmonium carb.の一服。Stannumのような胸部の衰 弱の感覚ではない。大声で咳を出す事がほとんどできない、そして衰弱のため、 Ant. tart.のように粘液を吐き出せな い。短い喘息性の咳。

 このレメディの不調は特に朝3時に来る。咳はその時間に来る。胸部のカタルで苦しむ老人は、朝3時に悪化、動悸と 疲労を伴い、冷や汗と呼吸困難を伴いその時間に目が覚める。ほとんど脈がない;心臓が弱い。顔は青白く冷たい。

 「非常にだるい」。深刻な感染に関する問題やチフス、ジフテリア、猩紅熱、丹毒などを伴う、またはそれにに近い欠 陥反応。 危機に来るそのような不調において、正しく選ばれたレメディで、患者がひどい疲労状態に陥いるならば、神経性疲労のためにこの薬が Arsenicumと競い合う場合がある。 古い学派で呼ばれる「心不全」という言葉を見なさい。患者 は非常に具合がいいが、遂に心不全で亡くなる、とある。非常に多くの場合に、もしAmmonium carb.が与えられていれ ば命を救うだろう。

 「外気の中を歩くのを嫌う」「シャワーが嫌いな子供」。ベッドの暖かさからリューマチの痛みが楽になる、寒気が改 善する。「暖かい部屋で頭痛がよくなる」「シャワーから症状が再発する;鼻血;青い手;静脈の腫れ」「冷たい空気 で悪化する」。

 皮膚の様相だ;「猩紅熱にかかったように体が赤い」「突き刺すような感覚を伴う腐敗した平らな潰瘍」「眠気を 伴う悪性の猩紅熱で、眠りからびくっとして起きる」「大脳の症状が発達した場合の老人の丹毒」。疾患の深刻な形 や、急性化膿性炎症や丹毒のような、表面に現われて患者を楽にしない発疹を扱う時は、いつでも危険がある。早急にレメ ディを見つけなければいけない。患者が深刻な内部の疾患をかかえてやって来た場合、不健康に見えるおできや、急性 化膿性炎症や、丹毒のしみができるのは、決して珍しい事ではない。これらの後すぐに患者が楽にならない場合は、常に深刻である。それは閉じ込められて来て、もはや保つ事はできない致命的な状態を示し、この猛烈さは破壊を起こそ うとする。これは、このような状態の進度を停止するために見るレメディの一つである。もちろん、症状の全体性に一 致するいかなるレメディも、投与すべきものである。