Chelidonium(チェリドニウム/クサノオウ)

 Chelidoniumは、ある特定の慢性疾患を治すけれども、どちらかというと急性疾患によく合うレメディである。あまり深く作用するレメディではない。一般的な作用の水準や、長さ、深さにおいて、Bryoniaのようである。主に胃腸のカタル、急性や半慢性の肝臓の疾患、右側の肺炎に使われる。皮膚は黄ばんでおり、このような病訴とつながり、徐々に目立つ黄疸が増えてくる。黄疸を伴う半慢性の胃炎。「胃十二指腸のカタル。黄疸を伴い肝臓に鬱血と痛みがある。右側の肺炎は、肝臓疾患かまたは黄疸を伴い重くなる」。このレメディは系統を通して働くように見えるが、ほとんど常に肝臓を含み、老齢者や医者が「胆汁症」と呼ぶものに適する。患者は一般的に胆汁的で、吐き気や嘔吐がある。静脈が膨張している。黄色っぽい灰色の肌。

 精神面の症状は、ほんの少ししかプルービングで出て来ておらず、好き嫌いのよい見解を十分得ていない。知性面の特徴のはっきりした見解も得ていない。シンプルなプルービングが必要であるが、多くの部位に、有り余るほどのプルービングを得ている。「悲しみと不安」。ある種の問題を思い詰める事は、一般的に精神面の状態を貫いている。「不安で休めない」で、昼夜忙しくしている。悲しい、まるで罪を犯したしたかのよう、或はまるで何か恐ろしい事が起きそうだったかのよう。とても悲しくて死ななければならないと思う。「泣いて意気消沈する。頭の使い過ぎや会話を嫌う。主に肝臓に働き、肝臓の作用を遅れさせるその薬を調べると、憂鬱という言葉が見つかるだろう。「心臓疾患を伴い、かなり興奮している。肝臓疾患を伴い、精神状態が遅くなり、頭が働く事ができなくなり、心が不活発になり、考えられず、じっくり考えられず、脈が遅くなる。有機組織全体の不活発さ。感覚中枢が妨害されている事が非常によくあり、患者は目が回る。「物が円を描いて回る」。目眩がし、吐き気がするか、吐くまで静まらない時もある。「頭がとても回って吐いてしまう。心の混乱。意識がなくなり気絶する」。これらもまた肝臓疾患の共通した特徴である。

 精神面の症状は多かれ少なかれ、肝臓の症状に続いて起きる。鈍く痛む特徴の痛みがあり「ヒリヒリする」。 打撲のような痛み。肝臓は接触を感じやすい。うずく痛みは肝臓の右葉全体を含むように見え、充満を作り出す。圧迫は上へ向かい、呼吸のしにくさを伴う。圧迫は下へ向かい、胃と交感し、吐き気と嘔吐を伴う。その後、右肩甲骨下に更に激しい痛みを感じる。「右肩甲骨下に鈍いうずく痛みがある;右肩甲骨下に鋭く撃たれたような痛みがある」、これらは肺炎や胸膜炎を伴い悪化する。この痛みが前から後ろへ向かい、背中を通じて感じられるように思える場合、それは肺炎や胸膜炎を治し、肝臓の鬱血の様々な形態を治す。「肝臓の部位に縫われるような痛みがあり、背中へ広がる。背中を通じて強い痛みを感じる」。撃たれたような痛みと描写する患者もいれば、縫われるような痛みとか、鋭い痛みと表す患者もおり、痛みは右下肋部 や肝臓の右葉を通じ背中まで進む。「肝臓部からの痛み、背中や肩に向かう撃たれるような痛み。肝臓部に発作的な痛み。肝臓部に圧迫する痛み」。鬱血や炎症において、充満感や肥大、半慢性の症例、或は急性さえあり、この薬はそのような状態に合うと証明している。右の下肋部は緊張し、圧迫すると痛い。

 このレメディは胆石の疝痛を治している。レメディの指示のしかたを知っている医者は、数分で胆石の疝痛を楽にする。この小さな管の輪状線維に作用し、それを緩ませ、痛みなく石を通過させるレメディが我々にはある。完全な健康状態には、もちろん胆嚢に溜められている胆汁に石はないのだが、この小さな胆管がその口を開き、小さな胆石がその中で形成され、その小さい管の粘膜を引っ掻く事で被刺激性が生じる。この痛みが撃たれるような、突き刺すような、裂けるような、電撃のような痛みで、背中を通じて広がる場合、Chelidoniumがそれを治すだろう。楽になった途端、患者は「どうしたんだ、何と楽な事か、痛みがなくなった」と言う。レメディは発作を楽にし、小さい管が開き、石が総胆管を通過する。症状によって示されたレメディはどれでも、胆石の疝痛を治すだろう。

 患者は寝床で横たわり、かなり熱く、極めて過敏で、体に触れず、痛みで叫び、赤い顔で、熱い頭をして、胆石の疝痛があり、Bellは3分で楽にし、全くこのレメディのようではない。症状が合えば、Natrum sulph.やその他多数のレメディも胆石痛を数分で治す。

 さて、肺炎に関しては一般的に右側に起きるか、或は右から左に広がるかである。右側は顕著であるが、肺の左の小さい部分が含まれる。胸膜が一般的に含まれ、そのため縫われるような、裂けるような痛みがある。Chelidoniumの患者はすぐ見つかり、患者は高熱で寝床にきちんと座り、肘の上に前かがみになり、この薬はBry.のように動くとかなり悪化が起きるので、完全にじっとしている。痛みはすべて動きから極端に悪化する。この患者は痛くて座っており、その痛みは患者を釘付けにし、わずかでも動く事はできず、動くとナイフで刺されたような痛みが走る。翌日患者の皮膚が黄色くなっているのを見るだろう。その始まりに患者を見たら、Chelidoniumがその人を楽にするだろうし、肺炎を回避するだろう。それは子供には珍しい事ではなく、大人には極めてよくある事である。 

 Bryoniaと混乱してはいけない。どちらも動きから激しく悪化する。肺炎がだいたい右肺の後部に起きる場合、Bryoniaは痛い側に横になりたがるか、仰向けに寝たがる。Chelidoniumでは接触や動きから悪化する。

 Bell.は極めて痛く、胸膜炎を伴い右肺が裂けるように、引き裂かれるように痛いが、Bell.では右側を触る事ができず、圧迫できず、反対向きに横にならねばならず、動く事ができない。動きに対し極端に過敏なため、寝床のきしみに我慢できない。 それらは共通点もあるがレメディは違うので、3つ全部をこのように特徴的に述べた。

 Chelidoniumの咳は、右側の胸の症状、肝臓疾患、通常これらに属する精神面の疾患、動きからの激しい悪化を伴う。痛みは熱さによって改善する。胃に広がる痛みは熱さで改善する。精神面の症状は食べると改善する。熱いミルクや熱い飲み物を欲しがる。暖かい食べ物を食べると肝臓や胸、胃の症状が改善する。

 「胆汁を吐く。吐き気;胆汁のおくび。不安が起きている間の吐き気やむかつき」。前述の病訴が起きている間、これらが通常起きる。痛みがひどくなった時、痛みが胃を襲うように思え、嘔吐を引き起こす。何か熱い物で改善する。「胃のみぞおちに苦痛感がある。胃に持続性の痛みがあり、動きで悪化し、発疹で改善する。胃のみぞおちに締め付けと過敏性がある」。これらはすべて接触で悪化し、食べると改善する。「胃が痛み続け、食べ物で改善する。胃に締め付けるような、挟むような痛みがあり、手足引き上げたり、左側に寝るととよくなり、食べると改善する」。

 目の症状が多い。縫われるような痛み。「角膜の混濁」。炎症。目の中が殴られたように痛い。右眼窩神経痛」。多くの例で右側を好む。

 顔では黄疸が最も顕著に表され、後に汚いグレーの肌の色になる。「青白い、汚い黄色の顔」。

 頭痛は熱さから起き、胃や肝臓、肺などと違う。頭は動きから悪化し、熱さから悪化し、暖かい部屋から悪化し、暖かい物から悪化する。それは内部や一般的状態と違う所である。多くの頭痛がある。周期的に胆汁性のむかつく頭痛があり、胆汁を吐き、暑さにさらされてから起きる、過剰の暑さから起き、動きで悪化し、暗い部屋で完璧に静かに横になりたがり、胆汁を吐くとよくなる。昔ながらの胆汁性のむかつく頭痛。

 胆汁性下痢。黄疸と同時に、粘土のようで、青白く、糞便のパテのような便。胆汁がない便。便は明るすぎる色。子供では便はかなり白い。下痢と便秘が交互に起きる。便は茶色、白、水っぽく、緑色の粘液は薄く、ネバネバし、明るい黄色か、黄色を帯びたグレーである。

 声枯れ。「咳の間、喉頭に、痛みや圧迫がある」。

 肝臓の症状や肺炎や一般的な胸の症状を伴い、呼吸困難が起きる。「呼吸が難しく、咳の短い発作を伴う。短く速い呼吸。まるで自分が窒息するような不安。呼吸困難、まるで呼吸が妨害されるような胸苦しさ」。また湿った喘息が夜襲う。天候が変わる度にこの事が起きる。病訴はすべて天候の変化から起きる。寒すぎる事にも暖かすぎる事にも、天候の変化に我慢できない。天候の変化から起きる肩や腰、手足のリューマチの病訴。

 肝臓や肺、胸の病訴を伴い咳が出る。咳は発作的である。慢性の咳は激しく、発作的で、乾燥し、激発的に起きる。「発作的な咳で、痰はない」。しばらくすると痰がいくらか出る。「短い咳が繰り返し起きる。少し灰色がかった痰を伴う短い咳。ガラガラと言う心身疲れる咳」。

 四肢ではリューマチや神経痛がある。一般的な四肢の神経痛は、非常に激しい。四肢が重く、こわばって感じられる。四肢がたるむ。後に患者は幾分疲れ切り、心臓が弱く、循環が弱く、四肢が水腫の状態にある。ひどく落ち着きがない。「四肢の震えや単収縮。疲労。怠惰。働く気がない」。

 神経痛は下半身や四肢よりも、頭や顔によく起きる。

 寒気や肝臓の炎症を伴った肺炎に見られるような、鋭く熱のある発作がある。昼や晩に出る間欠性の熱を治している。

 皮膚のカユミ、黄疸。それは老齢者の腐敗性潰瘍を治している。