Colchicum(コルチカム/イヌサフラン)

 伝統医学が痛風にColchicumをよく使用していた事はおもしろい。あらゆる古書は、この病気のために推薦してきた。プルービングは、Colchicumが痛風の多くの状態に合うという事実を裏付ける。急性リューマチ炎、尿酸素質、一般的なリューマチ性疾患、腫れを伴ったり、伴わなかったりする。しかし、伝統医学は、どんな痛風やリューマチ炎にそれを与えればいいのかは、述べていない。それは本当に経験の薬であった。「痛風だったらColchicumを試しなさい」。レメディーが失敗であった場合、患者にどうすべきかという問いは出て来なかった。「処方を与え、根気づよく続けなさい」という事で、薬は患者が着実に悪化し、他の医者の手に渡されるまでずっと施された。Colchicumが痛風の状態に合うのは本当だ。風邪にかかり、湿気た天候で尿の流れが緩んで乏しくなるか、または尿内の固体の質が減少する。この事はColchicumのプルービングで起き、何回も立証されている。このような状態が起きたり、激しい痛風の状態である事は、よく知られている。 からまった固形が不足していたり、尿中で運ばれないならば、何か起きたに違いなく、痛風の状態が起きる。

 Colchicumは冷たく、湿気た天候で悪化し、秋の冷たい雨で悪化する。弱体化するいかなる物でも、悪化させる。猛暑で悪化し、夏のリューマチがあり、暑さが尿の流れや尿の中の固形の量を緩める。

 レメディーを貫く顕著な特徴は、ある関節から別の関節へ、下から上へ、上から下へと動く傾向である。リューマチの状態は腫れを伴ったり、伴わなかったりし、まずここにあると思ったら次にあそこへと、次々に場所を変える。水腫の状態。別の顕著な特徴は、一般的な水腫の状態。手足が腫れ、圧迫でへこむ。腹部の空洞や心膜、胸膜の水腫、漿液包の水腫。炎症やリューマチの部分の腫れ、水腫部分の腫れ、薄い尿を伴う。多量でも少量でも色が薄い。

 筋肉のリューマチや、関節の白繊維組織のリューマチ。しばらく続いているリューマチの問題が、結果的に心臓の問題になる。心臓弁奇形を伴う心臓疾患がある場合、多忙な医者はまず始めにリューマチの病歴の事を考える。マテリア・メディカの研究の一部は、病人の観察にあると言いたい。忙しい医者は 書物で学ばず、もちろん文学に精通すべきであるが、観察と同様に読書から、疾患の一般的な本質の知識を得る。患者の話しを聞くか、或いは治療の検査をしている時、医者はそのような症例が普通導いてくれるのを知っている。何を期待すべきか知っている。疾患の自然の流れを知っており、何が変で何が異常か瞬時に気づく。何が自然か知らない限り、変な事や異常な事には気がつかないだろう。ゆえに、症候学や病理学、診断などに関する本は、この事を多く語るだろうが、ホメオパシーの実践における経験を積むに従い、君たちのマテリア・メディカがもっと接近して観察するように教えてくれるので、これについてずっといい考えが浮かぶだろう。マテリア・メディカの人は、個人化するため、小さな事をすべて選び出し突き止める。マテリア・メディカに沿って、病気を調べ、病人を調べる観察の年月は、伝統医学を実践するより、ずっとより高貴な人間の疾患の知識を開くと言えるだろう。伝統医学は観察力を麻痺させる。

 このレメディーの病訴はすべて、動きで悪化する。痛みの病訴、頭の病訴、腹部の病訴、肝臓の病訴、胃の病訴はすべて、 動きで悪化する。このような動きからの悪化で、動く事を恐がる。Bryoniaに見られるのと同様である。動きを嫌い、動きで悪化する。寒くなって悪化し、冷たく湿気た天候で悪化する。この人は凍えた患者で、寒さに敏感である。リューマチ患者のほとんどは、寒さに敏感であるが、2〜3例外がある。Ledumの患者ほど、すばらしいリューマチ患者はいない。両側を示す。患者は寒いが、痛みは寒さで改善する。Colchicumでは痛みは暑さで改善し、包まったり、暖かくする事で改善する。動くと、患者が抱えている苦しみは強調されるだろう。ひどい疲労は、このレメディーの病訴を伴う。四肢が弱まり、ひどく疲労困憊し、チフス熱の特徴の神経質な疲労困憊が起きる。ブライト病に進行しているような人のように、徐々に弱って行く。 しばらくの間弱く、青白く、ロウのようになる。手足が圧迫でへこむ。尿検査でアルブミンが見つかる。アルブミンで尿がインクのように黒くなる。組織に異常な度合いの被刺激性で、うずき、接触や動きに対する過敏性が起き、関節や全身に打撲のような感じがする。接触と動きは、電気振動のような痛い感覚を起こす。ひどい衰弱と疲労。少しでもがんばると呼吸困難になり、横にならねばならず、動きたくなく、力が衰え、動きや労作からまるで命がさまよい出るように思え、非常に疲れ、へとへとになる。ブライト病に進行している時や、継続性の熱に進んでいる時に、このような事が自然に起きる。腎臓疾患や肝臓疾患。倦怠感や極端な疲労や不安。筋肉がピクピク動き、電気ショックが全身を貫く。有毒効果や長過ぎるプルービングにおいて、麻痺性の衰弱が見られる。顎が垂れ下がり、筋肉はたるみ、緩んでいる。まるで沈んで行くように仰向けに横になり、腸チフスの患者や、リューマチ初期や、継続性の発熱のように寝床から滑り落ち、疲労困憊が激しい。 四肢や手足の一つや或いはどこでも麻痺する。

 Colchicumの患者はほとんどずっと汗をかき続け、発熱を伴いさえし、汗が冷たい事もある。すきま風が当たると、その汗が抑圧され、手足の麻痺状態が起きる。この事が徹底的な特徴と疾患のタイプを描いている。疾患の初期は、力をなくした疾患や、神経質に震える疾患で、ひどい疲労を伴う。急性疾患が過ぎると、ひどく弱り、浮腫がそれに続いて起きる。猩紅熱後の浮腫。

 これらすべての問題を伴い、胃腸の症状がまさに明らかになる。これはCocculusのようである。全く食べ物に触れない。目の前で食べ物の事を言われると、気持ち悪くなって吐き気がする。食べ物の事を考えたり、臭うと、吐き気が起きたり、吐いたりする。前述のすべての疾患の初期の形を伴い、この種の弱さはCocculusの弱さと少し違う事がわかる。Colchicumはせん妄や疲労、精神面の落ち込み、痛みに対してかなり敏感で、それを心で感じるようで、精神面の症状になる。痛みに過敏で、頭が混乱し、理解しにくくなる。読んでいる事が理解できない。頭痛はリューマチの特徴が全部ある。頭蓋骨全体と頭蓋骨膜が、まるで打撲したかのようにうずく事が、非常によくある。頭皮が敏感である。頭の狭窄で圧迫され、押されるような突然起きる頭痛がある。頭の中が暑い。頭皮が引き裂かれるように痛い。動きで頭痛はすべて悪化する。

 目の症状はリューマチの特徴があり、リューマチに関連し、リューマチ性の熱がある。リューマチ性の熱に関連する虹彩炎があるのは珍しい事ではなく、それはColchicumの強い特徴である。目蓋の潰瘍や.ものもらいがあり、外気で涙がかなり出る。涙は表皮を剥ぎ、そのため目蓋が赤くなる。

 風邪をひきやすい。くしゃみが出たり、鼻が詰まったりする。リューマチや痛風体質における鼻血。しかし、他のどのレメディーよりColchicumで顕著な特徴がある。臭いに非常に過敏なので、他の人が臭わない物を臭う。吐き気がする時、臭いの臭いがする。「強い臭いでオロオロする」。スープや肉汁とかと呼ばれる物で、この人は気持ち悪くなる。とても用心していても、台所にある物が臭える、この事がこのレメディーに一貫している。腸チフスでは、普通以上に疲労し、チフスでは皆疲労するものなのだが、異常に疲労する。その事を考えただけで吐き気がするため、牛乳が飲めないし、生卵が食べれない。何日も家を離れていると、家族は患者が飢え死にするのではないかと恐れる。臭いからの悪化が非常に強いため、それが患者を占有してしまったように見える。それは食欲や弱さや胃をを含む。それゆえ、この事は強い特徴のように見える。これは患者が好きな事の一つだという事に注意しなさい。それはゆがんだ愛であり、その愛は、目や鼻、触感を通じて現れようとなかろうと、一般的である。秩序を嫌う事を含むため、それはその人の生命そのものに入り込み、継続性の発熱や疲労性発熱、リューマチ性疾患のような疾患の初期の形態が目立つ場合、それは一般的になる。物だけに適応する何かであったならば、特別であろうが、それは最も深い部分に入り込むのが、わかるだろう。憎しみを含み、精神面になり、人間の一部となる。患者は自分で、悪臭が嫌いだとか、 食べ物の臭いが嫌いだとか、食べ物の事を考える事が嫌だと言うだろう。Colchicumの患者の前で「食べ物」の事を話してはいけないが、患者にColchicumをまずあげなさい、そうするとすぐに何か食べたくなるだろう。食べ物に対する嫌悪感を取り除く。人が自分を生き生きさせる事を嫌う時、それは元気づける物に違いない。

 歯は非常に敏感。「リューマチ性の歯」。歯茎は固定しなくなり、歯が緩んでくる。歯が痛く、顎と歯にリューマチの状態が起きる。「歯ぎしり、歯が圧迫し合う時に敏感になる」。

 「食べ物を嫌い、それを見ても臭っても嫌がり」どちらかというと臭いの方を嫌がる。「魚や卵や油っぽい肉や肉汁の臭いで、吐き気がし、気絶さえする」。Colchicumの患者はかなり喉が乾くか、喉の渇きがないか、これらが交互に起きるかもしれない。吐き気と嘔吐がたいへん強い特徴であり、「吐き気と吐く傾向は、唾液を呑み込む事で起きる。吐き気、おくび、多量の粘液や胆汁を吐く。激しい吐き気の後に、力づくに食べ物を大量に吐き、その後胆汁を吐く」。

 胃の中が冷たかったり、燃えるようだったりする。 Colchicumの患者は冷えと燃焼の両方が起きるだろう。それらはどちらもレパートリーとプルービングに書かれているが、氷の一塊かとても熱い物を試さない限り、どちらがどちらか言うのは難しかったり、想像より難しい時もある。

 「胃のくぼみが燃える」。胃の中が冷たい。腹部が、もっと観察するよう示してくれる。腹部はガスで膨らみ、太鼓のようである。ちょうどチフスで見られるように太鼓腹になり、腹部全体がひどく痛む。たまたま田舎で治療している時、農家の牛が、新鮮なクローバーのような斑点ができ、十分食べ、膨張し、そのため、牛が爆発してしまうのではと思い、手助けしてその牛たちにそれぞれColchicumの小粒をあげたとしよう。ガスが出るには数分もかからず、諸君もお百姓さんも驚き、その農夫をホメオパシーに転向させるだろう。ガスを出させるため、最後の短い肋骨の間に、牛の肉切り包丁を小袋に入れておく事を、農夫は知っている。牛はよくなるだろうが、Colchicumは肉切り包丁よりずっといい。馬の場合も同様であり、実際人間や野獣もそうである。腹部が激しく膨らみ、太鼓腹になったら、Colchicumが適するレメディーである事がよくある。

 痙攣性の痛み、疝痛、裂けるような痛み、燃える、つかむような痛みで、患者は二つ折りになる。動きで悪化する。疝痛を伴うひどい圧痛とうずき。食べると悪化し、二つ折りになって改善する。そして下痢になる。微熱の時に見られるような下痢である。ゼリーのような赤痢や下痢の便。ゼリーのような固形の塊を形作り、粘液を凝固させる。非常に痛く、極端に痛いのがColchicumの便である。腹部にひどい痛みがある。 部分的に非常に緩む。直腸が突き出る。腐った暗い血の混じった粘液が出る。「血の混じった分泌液が腸から出て、死ぬような吐き気を伴う」。白い粘液の分泌と激しいテネスムスを伴う赤痢。腐敗した暗い、血餅の混じった血や、粘液が腸から出る。下痢は激しい疝痛のような痛みを伴う。腸や肛門の突き出しから、血の混じった便が、剥離物と共に出る。多量の水っぽい便が、暑く湿気た天候や、秋に出る。水っぽい、ゼリー状の粘液が、括約筋の激しい痙攣を伴って出る。それは薄く水っぽい流れのように出るが、便が出るとすぐにゼリー状になる。

 尿は出る時燃える。かなりの痛みを伴う。腎炎、膀胱炎、テネスムス、尿の保持。腎臓が尿を作り出さず、浮腫を伴い、尿が少ししか出ない。尿はインクのようで、非常に暗い茶色で、時にはほぼ黒色の時もあり、アルブミンを増やす。このレメディーは主に、ブライト病の急性の形態に一致する。

 ひどい呼吸困難で、速く短い呼吸。心臓の弾みが強い。呼吸が速まる。心臓の音が部屋中に聞こえる。動悸がし、胸の圧迫がある。まるで胸にかなりの重さがあるかのように感じ、息ができない。水胸症で、胸膜腔が血清と共に膨らみ、呼吸困難を引き起こす。「心臓の動きは弱まり、不明瞭で、非常に弱っている。「刺すような、裂けるような痛みが、胸の筋肉にある」。

 腕に麻痺した痛みがあり、指の関節が大きくなる。この事はまた、疾患の初期の形とは何か、この薬がもたらす気弱な循環は何かを教えてくれる。「弱いので、歩いている間、膝がぶつかり合い、まるで打撲したかのようにそこら中が痛い。関節が腫れる」。関節が最も影響を受ける。筋肉のリューマチ。しびれ、水腫、手足の腫れが起きる。