Ferrum metalicum(フェーラム/鉄)

 Ferrum metalicumの勉強を始めよう。旧学派は伝統を通して貧血には鉄を与えて来ている。非常に多くの量を、塩化化合物と炭酸塩のチンキの形で与えて来た。患者が貧血になり、青ざめ、ロウのように白く、弱々しい時はいつも、鉄が強壮剤であった。鉄が貧血を作り出すのは真実であり、アロパシーの医師たちが施すような鉄の投与も虚血法もしないFerrumのプルービングを読んだ事がある人は驚いたことだろう。鉄が過剰に与えられて来たプルービングや、そのような環境下では、患者は緑っぽく、ロウのように白く、黄色く、青白くなり、不健康で貧血のような顔色を伴う。唇は青白くなり、耳はピンク色が消え、体の皮膚はロウように白くなり、出血傾向があり、時には血餅も混じるが、通常は多量で、薄く、澄んだ血液で、非常に暗い色をしている。血餅は分離し、液体の部分は茶色く濁って水っぽく見える。患者は次第に衰弱して行く。青白くロウのように白く、筋肉はたるんで弛み、持続できない。筋繊維はすべて、どんな労作からでも疲労する。素早い運動や、並はずれた労作は何でも不可能である。素早い労作や動きで、弱ったり、呼吸困難になったり、衰弱したり、気絶したりする。

 Ferrumの体質の状態を貫く奇妙な事は、痛みと苦しみが休息中に起きる事である。休息中に動悸が起きる事もあり、呼吸困難が休息中に起き、衰弱さえする。患者はゆっくり動き回ると改善するが、いかなる労作でも疲れ、失神状態が引き起こされる。どのような素早い動きでも症状が悪化する。痛みは家の中を動き回ることで改善するため、労作で興奮したり、疲労したりしない。多くのケースにおいて患者は水腫が起きる。皮膚は押されたところに窪みができ、青白く、それにもかかわらず顔は多血症の外観を示す。些細な興奮が起きる度に、顔がほてる。寒気の間、顔が赤くなる。ワインや刺激物をとると顔がほてり、たるんで弛み疲労しているのに、病気であると認めてもらえない。友人から同情してもらえない。弱わって、動悸や呼吸困難で苦しみ、どのような仕事もできず、横にならないといけないと感じる―だが顔はほてっている。これは偽多血症と呼ばれる。血管は膨れ、静脈瘤があり、皮膜は緩む。このために出血が起きやすく、毛細血管からの滲出や、体のあらゆる部分から出血し、鼻や肺や子宮から出血する。女性は子宮からの出血で非常に苦しみ、これは特に更年期中や更年期後に起きる。Ferrumは症状が合えば、思春期の少女やそれに続く数年に起きる「萎黄病」と呼ばれるすばらしい貧血状態に、大きな価値を見出す事だろう。月経の出血はほとんどないが、非常に青白く咳がひどくなる。従って、少女たちにこの病気がよく起きるため、母親たちは皆その事をよく知っていて恐がる。多くの患者をかかえると、萎黄病の症例を数多く見るだろう。

 月経期の初期は多くの出血を伴う事があり、その後かなりの衰弱が起こり、これは月経周期のようなものがが確立されるまで数年続く。これらの症例では、旧学派は常に患者にかなり多くの鉄を取らせるものだが、鉄を取れば取るほど、患者はますます悪くなる。

 鬱血は上へ向かう傾向があり、赤い顔や熱い頭、手足の冷たさを伴う。しかし、頭と顔の熱は赤い外観に全く釣り合っていない。Ferrumの上へ 向かうこの鬱血は、敗血症や他の熱の形で寒気の間に起き、頭は熱いとは限らず、冷たい事もある。顔は赤く冷たいかもしれない。

 Ferrumのもう一つの主要な特徴は、Chinaのように体液の喪失から、長引く出血から起きる病訴がある事であり、長い衰弱を伴う。回復も同化もしない。骨が柔らかく曲がりやすく弯曲する。やつれて弱々しい子供。関節が乾燥し、動くとポキポキ鳴る。突然衰弱し、偽性多血症を伴う。

 顔が赤く、健康そうなバラ色で、道を早く歩けない人や、どのような労作にも耐えられない人にある。しかし病訴が休息中に起きるため、Ferrumの病訴の中には、仕事や、何かをしたり、少し運動してよくなるものもある。神経の過剰な興奮性と敏感さがあり、痛みに対し過敏である。Ferrumが必要な敏感な女性は、顔がほてり、同情してもらえないので、不満を言っている事がよくある。病気のように見えないが、階段を上るとハーハー息が切れ、衰弱を感じ横になりたがる。

 じっとしていると落ち着かず、手足を動かし続けなければならない。手足に引き裂かれるような痛みや、鈍いうずきがある。静かに穏やかに動かすと、 Pulsatillaのようにこれらはなくなる。だがFerrumは非常に冷たいレメディであり、冷たさで改善する首や顔や歯の辺りの痛み以外は、暖かさで改善する。だが痛みのほとんどは熱さで改善し、患者は暖かくしておきたがり、新鮮な空気や通気のようなものを恐れる。
 衰弱と疲労、話す事からさえ衰弱を起こす。不整脈や速脈、或いは遅すぎる脈を伴う疲労、動悸。そしてその後、麻痺性の衰弱が起き、手足がへたばる。貧血または出血からの麻痺性の状態。出血から失神する。筋肉のぐいっとした引きつり、ピクピクした引きつり、舞踏病、カタレプシーが起きる。

 身体面と似ているので、精神面の症状の特徴の何かは、想像しやすいだろう。心が混乱し、患者は涙ぐんでいる。気分の落ち込みや、精神衰弱と落ち込み。非常に高い度合いの落ち込みと落胆。些細な原因から不安が起き、イライラしする。紙がカサカサいうようなわずかな音が、患者を狂乱させる。それが神経的な興奮と落ち着きのなさを起こし、起き上がり、動かなければ ならない。ほんのわずかな反対から興奮する。突然の或いは素早い動き、あるいはほんの少し急ぐだけで、目の前が暗くなり、目眩がし、物がグ ルグル回り、患者は座らなければならない。またこれらすべてを伴い、顔が赤い。一人で休息している時、顔は青白く冷たくなるが、少しの興奮で頬がほてる。

 頭痛は鬱血の特徴があり、血流の上昇が増す。赤い顔をし、充満と膨張がある。目の充満と膨張、首の充満。心臓の動悸。眼球突出性甲状腺腫。頭痛は圧迫で改善する。Ferrumは血管を支えるため、圧迫されたがる。頭に金づちでで叩くような拍動感がある。素早い動きの度に頭痛が悪化する。咳で頭痛が悪化し、咳から頭と後頭部が痛む。これらの痛みは、ゆっくり歩くことで改善する事がある。階段を上ったり、座ったり、椅子から立ち上がったりする事は、この動作が非常に慎重に行われない限り、Ferrumの痛みをすべて引き起こす。いかなる突然の動きも、頭に金づちで叩かれたような、ひどく広がるような感じをもたらすだろう。そしてその後、どちらかというと多少なりとも撃つような、引き裂かれるような痛みが起きる。起き上がったり、咳をしてから、後頭部に打たれたような痛みが起きる、というのは咳は突然の動きだからだ。金づちで叩かれたような頭痛 を伴う心の混乱。頭に血がさっと上る。興奮や風邪、露出から鬱血性の頭痛が起き、3〜4日か或は1週間続く。顔はほてり、おそらく冷たく、頭は幾分熱いが、期待されるほどの熱さではない。

 目は赤く、血管は充血している。かなりの衰弱、呼吸困難、動悸。頭を使う作業である筆記は、頭痛を再発させる。頭皮が非常に過敏。患者は髪の毛を下ろしていなければならない。精神面の混乱と頭痛は出血を伴うか、後続し、分娩中の女性に起こる。目の辺りがむくんで見える。鬱血から起きる視力障害すべて。静脈鬱血で、まぶたが腫れ、膿のような分泌液が出る。音に過敏で、耳鳴りがする。

 鼻の症状は非常に多い。鼻血にいたる風邪とカタルの問題。月経の努力で頭痛を伴い、ほんの少し怒っただけで鼻血が出る。鼻の中にかさぶたができる。顔が極端に青白く、ほんの少しの感情で顔が赤くなってほてる。脚の水腫を伴う顔のほてりや、寒気を伴う顔のほてり。寒気の間の喉の渇きはFerrumの強い特徴である。月経期間中、激しい痛みがあり、痛みが始まるとすぐに顔がほてる。

 胃に入れても何も消化されず、特に吐き気もない。Ferrumで吐き気が見つかるのは例外である。食べ物が胃へ行き、吐き気がなく吐き出し、ただ空っぽになる。Phosphorusのように一口食べておくびが出る事もある。老齢の先生方を含めて、Phoshorusは一口食べて、胃が空になるまで吐き出すレメディだった。ガツガツした食欲。テキストには「普通の夕食の2倍の量でもほとんど満足しない」と書いてある。食べ物がすべて苦い味がし、固 形の食べ物は乾燥し味気ない。食後おくびが出る。胃の中が熱く、食べ物が逆流する。ほんの少しの飲食後、特に肉を食べた後、胃に痙攣的な圧迫感が起きる。肉や卵、酸味のある果物を嫌悪する。牛乳を嫌悪し、常用のタバコやビールを嫌う。甘いワインは合うが、酸味のあるワインや酸っぱい物はすべて合わな い。舌がまるで焼けたように感じる。胃が空になるとすぐ、また食べるまでは嘔吐が止まる。夜中以降すぐ、食べ物を吐く。嘔吐した物は酸っぱい味がする。

 Ferrumは妊娠中に示めされる事がある。妊娠した数週間後、一口食べると吐き始める。吐き気はないが、顔はほてり、たるんで、衰弱する。病気にならずに吐く。胃に充満感と圧迫があり、食後、胃に圧迫感がある。この特有の胃のため Ferrumは普通でない興味深いレメディである。それは革袋のようであり、何も消化しないだろう。一杯になり、一杯だったのと同じくらい簡単に空っぽになる。

 Ferrumは刺激臭で水っぽく表皮を剥ぐ便を伴う、厄介な下痢が起きる。朝の下痢。このような患者の多くは、健康を損ねた体質の老齢の罪人で、長い間便秘を患っている。力んでも効果のない慢性的便秘で、便は固く困難である。

 弛緩がこのレメディを貫く。この弛緩から、直腸や膣や子宮の脱出症が起きる。下半身に引きずりおろされるような感じがあり、まるで臓器が飛び出すようで、実際飛び出す事もある。

 膀胱も弛んでいる。括約筋が弱く、筋肉の動きに規則性がない。そのため突然の動きや、歩いたり咳をしてから、不随意に尿が出る。小さな子供においては1日中 尿がしたたる。遊んでいる間、尿がしたたり、服を濡らし続けるが、完全にじっとし続ける間は、この事がよくなる。膀胱は非常に弛んで疲れているため、尿を保持できず、ある程度膀胱が満たされるとすぐ、たまったものを排出する。この弛緩はこのレメディを貫き、 ちょうど人間ように特徴を与える。諸君は自分の友人が、色々な機会に何をしそうかを知っている。レメディについても同じである。病気の治癒においてレメディが何を成し遂げるのか知るために、何を最もしそうかを知らねばならない。

 生殖器の衰弱と弛緩はFerrumに共通している。月経の出血はその一部として起きる。多量で水っぽい出血か、或は抑圧である無月経、全 く出血がなく、帯下だけが出る。月経の抑圧は、かなり神経質な興奮や、顔のほてり、衰弱と動悸を伴う。膣の脱出症。性交中の膣の無感覚さ。不正子宮出血。月経 が早く来過ぎ、多過ぎ、長く続き過ぎる。

  呼吸しにくく、胸に痛みと妨害がある。胸にかなり重苦しい感覚を伴い、呼吸しにくい。夜、窒息の発作が起きる。気道のカタル性状態、胸の鬱血、呼吸困難。百日咳で見られ るような発作的な咳で、激発で起きる。食後の度に咳が出て、空嘔吐や、胃の中味を空にしようとする事を伴う。頭で感じられる咳。ブランデーやタバコやお茶の飲み過ぎから、咳が悪化する。出血の後のように、体液の喪失後に咳が出る。子宮出血や、他の出血に後続する胸の問題。血を吐き出し、肺から出血する。結核になる傾向があり、自慰で衰弱した人。

 恐怖や興奮、或いは労作から心臓の動悸。心臓の速い動き、または遅い動きの時もある。心臓の脂肪変性。晩に向かって鼓動が早くなる。体中に拍動があり、小さな金づちで叩かれているよう。

 四肢にリューマチ性の痛みがあり、熱やゆっくりした動きで改善し、寒さや労作、或いは速い動きで悪化する。三角筋を通る痛みが他の部分の痛みにより、著しく話されるが、この痛みはFerrumのどの痛みほど顕著ではない。手足を通じ裂けるような痛みがある。腕を上げる事ができない、麻痺性の痛み、つまり、痛みは無感覚である。まるで痛みのため、その部分を動かす力がなくなるような気になる。股関節の激しい痛みは、ちょうど肩の痛みのようによくある。リッペは「左肩のリウマチ」と言うが、右にもよくある。両方の三角筋のリウマチ性の痛み。筋肉と神経に沿った激しい痛み。右三角筋の摘まれるような痛みがあり、右肩に穿刺痛があり、動きと布団の重さで悪化し、熱さで改善する。裂けるような、刺すような痛み。患者は寝床の中で じっとしておこうとするため、Ferrumの痛みは夜起きる。休息はFerrumに痛みをもたらす。日中、ゆっくり動き回ると、それほどひどい痛みはないだろう。手足の冷たさ、そしてまた足の裏や掌が熱くなり、それが変化する。このような衰弱と疲労のすべてを伴い、水腫の状態が起きるため、手足がむくむ。

 夕方の寒気や、発熱や冷たい手足、赤い顔を伴った寒気。寒気と共に足が氷のように冷たい。食後に改善する寒気。寒気を伴う喉の渇き。黄色いシミを作る 大量の汗。症状はすべて発汗中に悪化する。強い臭いの寝汗。発熱症状すべて、ゆっくり動き回ることで改善する。キニーネの乱用後に起きる間欠熱。

 テキストでは、Ferrumは肺病の末期における下痢のレメディであると、書いてある。もし、患者が死ぬ覚悟ができているならば、そういう事もある。Ferrumは下痢を止めるだろうが、下痢が止まったら、患者は長く生きないだろう。下痢は通常痛みはない。苦しいものではあるが、痛みはな く、寝汗も痛みはない。それらを抑圧してはいけない。それらを放っておいた方が良い。患者に平安な停止に移らせなさい。肺病末期の下痢に最良のレメ ディは天然のSaccharum lactisであり、非常に少量与え、患者と見守る人の要望に応じ、頻繁に繰り返し与える。

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