Medorrhinum(メドライナム/淋病)

 このレメディーを使用する事は多いレメディーのだが、その一つは子供の遺伝疾患において使われる。長年の経験をつんだ治療家は子供の多くの症例に出くわす。嬰児がすぐやせ衰え、消耗症になったり、喘息になったりするか、或いは鼻や目蓋のひどいカタルで苦しんだり、頭皮や顔に白癬(たむし)ができたり、小人症になったりし、しばらく時が過ぎてから、父親が淋病の治療を受けており、なかなか治らず、おそらく性器にコンジロームがあったのではという事を思い出す。このレメディは治癒或いは回復を開始する。女性が結婚して何年か過ぎてから、母親になりたいと思う。その女性は結婚した時は健康だったが、今や卵巣が痛み、月経の問題があり、性的反応がすべてなくなり、どんどん青白くロウのように白くなっており、激しく過敏で神経質になっている。それは夫の病歴が原因であり、このレメディでよくなるだろう。ある青年は青白くロウのように白く、刺激物とタバコを切望し、すきま風に敏感で、労作や歩いた後でこわばり、すぐ汗をかき、寒さに極端に過敏で、淋病を注射で治して以来調子がよくない。リューマチ症状が体のあらゆる部分にある。症状によっては日中悪化する。普通Syphilinumとの比較では「日中はMed、夜はSyph.」とあるが、包括的な供述としては有効ではない。多くのSyph.の痛みが夜に悪化するのは本当である。淋病やMedorrhinumのある症状が日中悪化するのは真実である。多くの淋病の症状が昼夜激しくなるのも真実である。Med.の精神面の症状が夜非常に激しくなるのも真実である。このノゾーズの状況であまりにも包括しすぎるべきでない。リューマチ性の炎症は動きで悪化するが、腫れがない部分は、このような患者はRhusの患者のように痛くなく、寒さに敏感で、痛みや厄介な痛みで苦しみ、Rhus.のように動きのみで楽になる。ほとんどの淋病患者は寒さで苦しみ、熱さに敏感な人もいる。深い風邪をひいたかのように、痛く、傷つき、歩行困難で、発熱を伴い寝込む。痛みは一般的な緊張感を伴って起きる。しつこいリューマチの症例がある。痩せる。猫背で歩き、ぎこちなくなる。つまづく。速く消耗しているかのように見える。激しく神経質な過敏さ、衣服や髪の房を触られる事に協調しない。

 震え、どんどん確実に弱くなって行く。全身に激しい蟻走感。わずかな音でビクッとする。気が遠くなるような感じがし、扇ぎたがる。外気を欲する。冷たく脈がなく、冷や汗を伴う。手足の浮腫みはひどい痛みと漿液包の浮腫を伴う。外部は、冷たく湿気た天候に敏感。神経痛が起きやすい。縫われるような、裂けるような痛み。痛みは熱さで改善する。背中と手足に引っ張られるような痛みがある。患者は痛みに極めて過敏。レメディは決して低ポテンシーで使ってはならない。

 事柄や形や名前、読んだ事柄を忘れる。書き間違いや、綴りや言葉を間違える。時間があまりにもゆっくりたち、皆があまりにもゆっくり動く。常に急いでおり、そのように急ぎ息が切れる。急いで気が遠くなるように感じる。心が混乱し、放心状態で、感覚を怖がり、話す時考えがなくなる。自分の症状を述べるのが難しく、自分を見失い、何度も尋ねなければならない。誰かが後ろにいると思ったり、ささやき声が聞こえる。家具の後ろから自分を見つめている顔が見える(Phos.)。すべてが異常に見える(Alum.)。まるで精神異常になり始めているかのような野性的な絶望感がある。話すと泣く。晩に高揚感が起きる。心が変化する状態にあり、今悲しいと思ったら、次には明るくなる。死の予感。何か恐ろしい事が起きるかのように、目が覚めると恐怖感がある。 暗さを怖がる。自分が救済されるかついて不安である。

 かがむと目眩がし、横になると改善し、動きで悪化する。転ぶ事を怖がる。

 頭の神経痛はさまよい、冷たい湿気た天気で悪化する。鋭い痛みが起き、突然消える。頭はどこもかしこも痛い。痛みは光と咳で悪化する。脳ほど深い所が燃えるように痛い。頭皮の極端な緊張。額に帯を巻いたよう。後頭部と首筋が痛く、動きで悪化する。頭皮が激しく痒い。頭皮にヘルペス性の発疹、白癬がある。多量のフケ。髪は乾燥しゴワゴワしている。

 目の前がチラチラ瞬く。視覚がぼやけ、視野に黒や茶色の点が見える。物が二重に見えたり、小さく見えたりする。想像の物が見える。目が引き出されるように感じる。筋肉の緊張。目を動かすと目の中が痛い。目の中に砂が入っているような感覚がある。棒があるような感覚がある。角膜の潰瘍を伴う結膜炎。かなりの腫れを伴う眼瞼炎。朝に目蓋がひっついている。縁が赤く表皮が剥げている。眼瞼下垂症。目蓋がひりひりする。まつ毛が抜ける。ブライト病に見られるように、目の下が腫れる。

 聴覚障害と完全な失聴。声や人が会話しているのが聞こえると想像する。始めは聴覚が非常に鋭い。耳管に沿って耳の中が痛い。耳の中が這うよう。耳の中が痒い。耳の中が縫われるように痛い。

 このレメディは頑固な鼻のカタルや、また臭覚を無くした後鼻の詰まりを治す。粘液は白か黄色。ある中年男性は、頑固な鼻の分泌と長年抑圧されて来て、慢性後淋のように起きる尿道からの分泌がMed.で治り、最終的に他の治療を受けずに終わった。鼻血や血の混じった鼻の分泌液。吸気に鼻が敏感。鼻の中が痒く這っているよう。

 緑がかった黄色で、ロウのように白く、病んだ顔つきの淋病患者は、Arsenicの患者のように見えるが、おかしな話Arsenicは別の面では症状に一致しないのだが、それと間違えてしまうだろう。肌は輝き、染みで覆われる事が多く、口の周りに単純疱疹がある。顔面のヘルペス。小鼻か唇に上皮腫ができる。顔のリューマチ性の痛みとこわばり。顎下腺の腫れ。咬む時はいつも歯が敏感。異常な味がし、舌は悪臭があり基盤が白い。口は口囲潰瘍で一杯で痛い。口や舌の潰瘍。口臭が臭い。口と喉に糸を引く粘液がある。口が乾燥し焼けたように感じる。喉にカタルがあり、べとついた白い粘液が後鼻からずっと落ち続く。

 貪欲な食欲、食後でさえそうである。癒されない喉の渇き。刺激物、タバコ、甘い物、熟していない果物、氷、酸っぱい物、オレンジ、エール、塩を欲しがる。食後や水を飲んだ後に吐き気がする。粘液や胆汁を吐く。酸味や苦みの嘔吐。激しいむかつき。 吐き気がない嘔吐。

 胃の中がかじられるようで、食べたり飲んだりしても楽にならない。胃の中の震え。胃の中がひっかかれるようで、膝を引き上げると悪化する。胃が沈む。胃が苦しい。

 肝臓がひどく痛い。肝臓と脾臓がつかまれるように痛い。腹水を治している。腹部に拍動を感じる。鼠蹊腺の痛みと腫れ。いい体格で健康な若者が淋病にかかった。注射で治療された。まもなく痩せ始めた。鼠蹊が痛み、そのため曲げて歩かねばならなかった。青白くロウのように白くなり、そこら中こわばり、足が不自由になり、寒さに過敏になった。しょっちゅう風邪をひき、それは決してよくならないように見えた。Med.をとってから非常に高いレベルで分泌液が戻り、かなりよくなったようだった。精索の痛み。

 このレメディは親から淋病を受け継いだ嬰児における、マラスムスの多くの症例を治している。淋病の父親を持つ子供は特に嘔吐や下痢、衰弱になりやすい。その子たちは、よく選択された慢性のレメディを拒んだり、或いはよく選択されたレメディで一時的に和らげられるだけである。Med.をとってからかなり丈夫になり、レメディがよく作用する。便秘。便を気張り出す時、はるか後ろに体を反らす事によってのみ、排便できる。直腸が動かない。丸く堅いこぶだらけの便。肛門に湿気が滲み出て、魚の塩水の臭いがする。

 リューマチで苦しむ、歩行障害でこわばった患者の、乏しい、色の濃い、強い臭いの尿。寒さに敏感で、足の裏の圧痛を伴う。円柱を伴うアルブミン尿で、患者がロウのように白く、足や足首が浮腫み、足の裏は触ると痛く、歩くのを怖がり、足の裏の皮膚は青く熱い;また腫れた脚は非常に痛く、触らせることはできないか、或いは圧力で腫れるかくぼむか確かめようとするが、その圧迫に耐えられない。淋病暦があれば、上記の状態でMed.が即座に作用するだろう。膀胱や前立腺や腎臓の炎症。尿に多量の粘液。腎疝痛。腎臓の実質炎症。多量の淡い尿。夜の頻用。おねしょ。膀胱が作用せず、尿がチョロチョロ出る。多尿症の多くの症例を治している。

 何度か淋病にかかり、特に注射で治療して来た若い男性の夢精やインポテンツ。長引く後淋の分泌液があり、リューマチの症状と健康の衰えを伴う。淋病性リューマチのために、これは非常に重要なレメディである。これはリューマチの症状を制御し、分泌液を復活させる。前立腺硬化と精索の痛みを治している。4〜5年前に淋病にかかった人で、風にさらされる度に、左精索や左座骨神経が痛んだり、腰痛が起き、Med.10M.で治った。

 卵巣部の慢性痛。不妊症。月経痛。頑固な帯下。卵巣肥大。陰唇と膣の激しい痒み。多量の月経。まるで月経が来るかのように仙骨が引っ張られ、骨盤部全体にナイフで切ったような痛みがある。月経中、仙骨や腰に燃えるような痛みがある。

 呼吸しにくい。ちょっとした労作で.呼吸困難や呼吸が短くなる。淋病の親を持つ子供の喘息(Nat. s.)。喉頭内のコッコッという声を伴う声門の発作、空気の放出は困難を伴うが、吸気は簡単。喘息の症例のいくつかはこのレメディで治っている。眠りがけに喉頭の乾燥で痙攣が起き、咳が出る。多量のネバネバする痰を伴う気道の非常に頑固なカタルが、このレメディで治っている。痰に届くほど十分深く咳ができない(Caust.)。咳はうつぶせに寝て改善し、夜悪化する。痰は黄色や白色や緑色で、粘着性で吐き出しにくい。咳は暖かい部屋で悪化する。

 このレメディを必要とする多くの患者は、病んで見え、青白く、まるで肺結核に進みそうに徒歩が止まる。 胸の中がガラガラ音がするのを伴う乾燥した咳。ひどく熱く、胸の中さえ燃焼する。胸に多くの痛みがある。リューマチ性の鋭い痛みは、湿った冷たい空気にさらされて胸を通る。淋病を患った患者は、症状の身体的複合体をとるように見え、個人化した症状の欠乏はレメディを疑わしくさせ、このレメディはもっといい反応をもたらし、何ヶ月ものためのレメディである事もある。胸の中や乳腺が冷たい感覚がある。胸に縫われるような痛みがある。胸は触られると痛く、呼吸の動きで悪化する。

 心臓は普通リューマチの体質に対して、すべての症状を表す。呼吸困難;心臓がドキドキする;動悸。痛みは急性で、切れるよう、縫われるようで、動きで悪化する。心臓が燃えるようで、左腕まで広がる。

 「凝った背中」はこのような患者に共通した病訴である。一般的には腰痛、または腰仙部の痛みであり、下肢まで広がる事がよくある。脚か座骨の神経痛。首筋と背中に引っ張られるような痛み。左から右肩へ痛みが背中を横切る。背骨の上部にかなりの熱さがある。立ち上がる時や動き始める時、背中がこわばわる。痛みはすべて、冷たく湿気た天気で、痛みがすべて悪化する。圧痛のある背骨。腎臓部に痛みがある。

 冷たく湿気た天気で、手足に慢性のリューマチ性の痛みが起きる。手足は不自由でこわばる。縫われるような痛みが全身や手足に起きる。鋭い痛み。患者は痛みに極めて過敏で、痛みを鋭く縫われるように感じる。動きの間に起きる痛みもあれば、継続した動きでよくなる痛みもある。冷たい四肢。燃えるような掌と脚の裏。手足の震え。肩のリューマチ性の痛みは動きで悪化する。腕や手のしびれ、左の方が悪い。手や腕の震え。掌が燃え、手で扇ぎたがる。右手が冷たく、それから左手が冷たくなる。手が冷たい。手の甲が熱くしびれる。

 下肢の震える弱さとしびれ。脚がぎこちなく、行こうとしている所へ行かない。大腿部のしびれ。常に下肢を伸ばさねばならない。脚に引っ張られるような痛みと緊張。リューマチ性の痛み。肉と骨膜にこわばりと痛みがある。雷雨の間、脚を急に上る。脚が落ち着かず、常に動かさねばならない。脚と大腿部、座骨神経と下腿骨神経がうずき、引っ張られるようで、動き続ける事で改善する。脚はしびれ重い。脚は下から膝までが冷たい。大腿部の裏の筋肉の収縮は膝まで下りる。足の裏やふくらはぎが引きつる。足首が弱い。燃えるような足、布団から出し、扇ぎたい。脚は膝まで腫れ、圧力をかけるとくぼむ。痛く、傷ついたような脚や足首や足の裏。足の裏は痛く、打撲したようで青く見える。足の裏で歩く事ができない。足の裏が腫れ、痒い。慢性淋病性リューマチ炎において非常によくある足の裏の圧痛を治す。 足の裏の圧痛のため、膝で歩かねばならない。冷たく汗っぽい足。

 手を頭の上にのせ、仰向けだけしか寝られない。膝まずいて顔を枕に埋めて寝る。幽霊や死人のひどい夢を見、夜を怖がる。眠いが眠れない。夜の前半は不眠。寝汗を多量にかく。

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